中古車をオークション JBAが外資で初開催 住商、三井物産と共同で
日本の中古二輪車オークション大手の現地法人、ジャパン・バイク・オークション(JBA)・インドネシア社は十六日、西ジャカルタのムルヤで二輪車の第一回オークションを開催した。同社は、インドネシアで外資初のオークション会社。JBAは、タイで中古車オークションのコンサルティング業務を行っているが、海外で出資するのは初めてとなる。国内二輪車・自動車市場が成長を続けるインドネシアで中古車市場の一層の拡大を狙い、来年初めには、自動車のオークションも開始する予定だ。
JBA(本社・神戸市)は、中古車のオークション事業会社「JBAインドネシア社」を今年五月に設立。住友商事と三井物産が第三社割当増資を引き受け、二輪車および自動車のオークション事業をJBAと共同で実施する。
増資後の資本金は、百億ルピア。JBAが六六%、住友商事グループと三井物産がそれぞれ一四・五%、住友商事グループのサミット・オト・ファイナンス社(SOF)のジョハン社長が五%出資している。
オークションの車両は、住友商事と三井物産の二輪車・自動車の小売ファイナンス事業で発生する支払い不可能者からの引揚車両のほか、現地大手ファイナンス会社やディーラーグループから募る。
住友商事と三井物産は、インドネシアの引揚車両を地場系のオークション会社などを通じて販売していたが、日本で積み上げたノウハウを活用したオークション方式で、販売価格の引き上げを図る考えだ。
オークションでの落札価格や成約率などの情報は、ウェブサイトなどを通じて公開する予定だという。
インドネシアでは、二輪車・自動車の中古販売が好調な拡大を続けている。同社は、二〇一二年に二輪車約二万台、自動車約三千台、数年以内に二輪車約六万台、自動車一万台の取り扱いを目指す。
■楽しめるオークションを
十六日の第一回オークションには、中古車ディーラーなど約二百人が競りに参加した。ジョクジャカルタなど遠方からの競り参加者もいた。十六日は約三百四十台、計二十三億三千六百二十万ルピアの成約となった。最高落札者は五十三台だった。
会場は、西ジャカルタ・ムルヤの大型スーパー「ロッテマート」内に設置。今月三十日から、毎週水曜日の午後一時から開催する。
JBAインドネシア社の塩山和宏社長は「毎週開催することで、仕入れのスケジュールを立てやすくしてもらいたい。『ここで買いたい』と思ってもらえるようなオークションを作っていきたい」と話す。
会場では、二輪車が勢いよく走ってステージに登場すると、画面に最低価格が表示される。外装やエンジンなどの状態がA―Eのグレードで、一台ずつ評価されている。
買い手は、自身を示す四ケタの番号札を頭上に掲げ、買う意思を示す。インドネシアで初という女性のオークショナー(競売人)が「七一、七二」と早口で価格を叫び、十万ルピアずつ価格が上がっていく。スリリングなやり取りの後、番号を上げる買い手が減っていき、残り一人となった時点で「一、二、三」とオークショナーがカウント。ゴングを鳴らし取引終了となる。その間約三十秒。客の間から歓声と拍手がわいた。
出品数が多すぎれば、長い時間がかかり買い手は飽きてしまうし、逆に少なければ、オークションに参加する魅力は少なくなる。日本のオークション企業は、スピーディーな進行や見た目にも楽しめる展開などを通じ、需要と供給がマッチするよう、改善の努力を続けてきたという。
JBA本社の西村竜・社長は「オークションはエンターテイメント。少しでも楽しんでもらえればうれしい」と話した。