「新車」に中古部品か メーター、空調、液晶画面、ラジエーター‥ 中国企業から300台納車 トランスジャカルタ
ジャカルタ特別州が中国企業・中通客車から2013〜14年の間、輸入していたトランスジャカルタの新車が中古の部品を含んだり、壊れていたりすることが9日、分かった。日刊紙コンパスなどが報じた。
コンパスと非政府組織(NGO)「交通研究所」のダルマニントヤス氏が写真を入手し、同紙などで公開。納車されたばかりの車両に装着されたスピードメーターのガラス、空調、液晶画面、ラジエーター、プーリーなどの中古とみられる品を写している。
ダルマニントヤス氏は「ジャカルタ特別州が中国企業にだまされた疑いがある」と中通客車を非難。昨年すでに300台を輸入し、年内に656台を輸入することを決めた入札の正当性が疑われている。
日刊紙ワルタコタによると、これを受けて、州運営会社のパルガウラン社長は9日「そのように壊れた車両があるのは知らない」と語った。同社を管轄する州運輸局のウダル・プリストノ局長は「海上輸送が長いため、さびたり、腐食したりしているが、深刻な壊れ方ではない」と説明。「販売代理店は部品をすぐさま交換すると約束した」と語った。
州は渋滞対策として、公共交通機関の利用を促進している。電車、モノレールを整備する前に、トランスジャカルタやバス網を拡充することを短期策にする方向だ。しかし、トランスジャカルタは車両約600台のうち100台以上が故障しており、運転手も車両数より少ない。運行での非効率性が指摘され続けているため、州は車両補充で対応してきたが、その車両自体に不具合が見つかり、水を差しかねない状況だ。
これに対して、アホック副知事は「汚職撲滅委員会(KPK)、検察、警察が捜査することになる」と強い姿勢で臨む考えだ。バス入札・調達での責任の所在を明確化するため、州運輸局、部品製造業者、販売代理店が捜査の対象になると話している。
「なぜ中国ブランドを買ったのか。メルセデスベンツかスカニア、ボルボではないのがおかしい」と語り、依然として州予算を不正流用する州職員が多いことを示唆。州が昨年から段階的に導入する電子調達システムで透明化を図るとしている。
正副知事と「ねじれ」ている州議会は、ほかの車両調達でも知事を追及する構えを見せている。(吉田拓史)