ムルパティ 運航停止 多額の負債、給与未払い
6.7兆ルピア(約560億円)の負債を抱える国営ムルパティ航空が1日、運航・営業の全面停止に陥った。ダフラン国営企業相が4日、明らかにしたところでは、運航停止は他企業との統合に向けた措置で、赤字経営によるこれ以上の債務拡大を抑止する狙い。
ただ運輸相令では、航空会社の運航停止が21日間に及んだ場合は運航事業認可(AOC)取り消しと定められており、ダフラン同相は「21日前までには、運航再開しなくてはならない」と期限を定めた。再建計画は進んでおらず、見通しは不透明だ。
同航空は、政府と国営、民間企業に対し多額の債務を抱え、職員によっては給与未払いが3カ月に達している。
最大時には200人超の乗務員が働き、一時は外国人の乗客増を図るため日本人7人、韓国人9人の女性乗組員も雇っていた。同社広報によると、1年契約で雇用していたが、辞職や期限切れにより昨年11月までに外国人乗組員は全員、同業他社に転職したり帰国した。
債務返済も深刻だ。元利のほか、保険会社への保険料、国営ガス石油プルタミナへの航空燃料など経常費の支払いも滞る。プルタミナが燃料供給を一部停止するなど、運航に直接支障をきたしている。
同航空は運航停止に伴い、チケット購入者への払い戻し措置を取っている。しかし、一部では手続きが遅れ利用者が反発するなど混乱が生じている。
経営再建計画をめぐっては、国内民間2社が資金面で協力する枠組みが計画されている。組織を縮小するため、機体メンテナンス、人材トレーニングセンター、運航サービスの3部門の子会社化も予定されている。
前2部門の子会社化では、資産管理公社(PPA)からの出資が検討されている。しかし先月、ムルパティ航空の労組幹部がPPA関係者からの情報として、「PPAには支援できる資金はない」と発言。再建への不信が広がったが、ダフラン国営企業相は4日、「再建資金は確保している。ただ財相の認可が必要で、拠出に時間を要する」と払拭に追われた。ただ、投資家たちにとっては依然、再建計画が不透明のままとなっている。(前山つよし)