元林業相の関与焦点に 林業省汚職、5年越し捜査加速
5年前に発覚した林業省の通信機器導入をめぐる汚職事件で、贈賄を主導したとされる会社役員を29日に逮捕した汚職撲滅委員会(KPK)は、当時林業相だったカバン氏=月星党(PBB)=の関与の有無を含め、事件の全容解明を目指し、捜査を加速させる方針を固めた。
事件では、通信機器販売会社マサロ・ラディオコム役員のアンゴロ・ウィジョジョ容疑者が国会第4委員会(農林水産)委員に現金を配り、受注で便宜を求めたとされる。容疑者の実弟や当時の第4委委員4人に有罪判決が出たが、元林業相の刑事責任はあいまいなままで、忘れさられた事件と見られていた。
しかし、香港―深セン境界でのアンゴロ容疑者逮捕を受け、KPKのアブラハム・サマッド委員長は「他者の関与を明確にするため、さらなる捜査が必要だ」と強調。当時林業界のトップにいたカバン元林業相周辺の捜査を改めて進める考えを示唆した。
問題の事業は、前任のプラコサ林業相がいったん凍結を決めたが、ユドヨノ政権発足に伴い04年10月に入閣したカバン元林業相時代に急きょ復活した経緯がある。第4委が林業省に対して、事業の再開とマサロ社への発注を勧告したことが決め手となったが、業者指名には大臣の署名が必要。収賄した委員らの公判証言などで、カバン元林業相が贈収賄の事実を認識していた可能性が浮上したが、アンゴロ容疑者の海外逃亡も重なり、真相は闇に包まれたままだった。
一連の公判では民族覚醒党(PKB)のユスフ・エミル・ファイサル元国会第4委員長ら3被告に禁固4年6月、ゴルカルのファフリ・アンディ・ルルアサ元委員に禁固4年の判決が言い渡されている。
カバン元林業相はオンラインメディア・テンポCOの取材に対し、アンゴロ容疑者の逮捕を歓迎。「KPKによる適切な捜査がなされることを期待する」と話した。