華人、春節祝う日本人の姿も グロドック金徳院
西ジャカルタの華人街グロドックにある中国寺院「金徳院」で31日、華人らが中国正月(イムック)を祝った。
「今年も平和に新年を迎えることができてうれしい」と息子のジェイソン君(1歳6カ月)を抱えながらデウィさん(20)はつぶやいた。快晴の空の下、この日は家族4人と金徳院にやってきた。線香の煙でジェイソン君の目には涙が溜まり、優しくふき取るデウィさん。「家族の健康を願い毎年ここに来ている」と話していた。最近はイムレックの日には豪華な食事はしないと話すが、イムレック用の中国菓子は毎年食べているという。「ほら、あれを見てごらん」とジェイソン君にデウィさんが話しかける。視線の先で華人が籠からスズメ十数匹を放していた。「中国では鳥は幸せを運んでくれる縁起もの」。鳥は青空に向かって大きく羽ばたいていった。
寺院の中では人々が線香に火をつけ、祈りを捧げていた。高さ170〜180センチほどのろうそくに火が灯っており、一番奥の像に向かって人々の行列ができた。寺院の管理人ジョニーさん(57)は「毎年千人以上が訪れる。国内ではバリやジャワ各地から足を運び、外国人も来る」と説明する。
寺院には日本人の姿もあった。息子と夫の3人で寺院へ来た日本人女性は「以前に中国で2年間生活をしたことがあり、中国正月には馴染みがある」と話し「夫の転勤で今月からジャカルタで過ごしている。インドネシアにも中国寺院があることに驚いている」と中国正月の雰囲気に浸っていた。
寺院の外には、周辺に住む200人以上が集っていた。華人が分け与えるお金を待っているためで、お年玉袋「アンパオ」が見えると、一斉に群がる。住民のヤティさん(53)はこの日午前7時から院内にいるという。午後4時過ぎまでに計3万ルピアを華人からもらった。アンパオの中を見せてもらうと、2〜3千ルピアが入っていた。「今年も洪水で生活が厳しい。お金が必要だ」とつぶやいていた。 (山本康行、写真も)