国会対策に30万ドル折半 「元長官が要求した」 プルタミナ社長 SKKミガス汚職

 石油ガス上流事業監督機関SKKミガスの長官やエネルギー鉱物資源省幹部が民間石油会社から賄賂を受けたとされる事件で、ルディ・ルビアンディニ元長官=収賄罪で公判中=とエネ鉱省幹部が、国営ガス石油プルタミナのカレン・アグスティアワン社長に対し、国会担当委員会に渡すための金を要求した疑いのあることが27日、汚職撲滅委員会(KPK)による同社長への任意聴取で分かった。規制行政と議会を巻き込んだ組織ぐるみの汚職の可能性があるとして、KPKが裏付け捜査を進めている。  
 カレン社長や代理人弁護士による聴取後の説明によると、昨年の補正予算をめぐる国会審議を前に、元長官からカレン社長に電話で「ジェロ・エネルギー鉱物資源相と自分はエネルギー鉱物資源関連の予算審議を有利に運ぶために、15万ドルを提供することで合意した。プルタミナからもう15万ドルを工面してほしい」との打診があった。
 資源やエネルギー政策を担当する国会第7委員会委員への金の提供を示唆し、電話後すぐにワルヨノ・カルヨ事務次官=同容疑で容疑者指定=に現金を渡すよう求めたという。カレン社長はその場で要求を拒絶したが、ルディ元長官は「(ジェロ)大臣に報告する」などと圧力をかけたという。
■社長解職の脅しも
 ルディ元長官は別の複数の案件でも国会議員に渡す金の負担を求めてきたほか、ジェロ・エネ鉱相も「2012年のレバラン(断食月明け大祭)賞与」名目で資金提供を求めてきたという。要求に応じなければ、プルタミナの社長を解職することをほのめかすような発言もあったと説明している。
 捜査筋の話として地元メディアが報じたところによると、ルディ元長官はKPKの調べに対し、事実を認めている。
 カレン社長に金の提供を断られたため、ルディ元長官は民間石油会社などから受け取った賄賂の一部や、他のSKKミガス幹部が調達したものなど計5万ドルを準備したと供述。国会第7委員会に渡ることを念頭に、自身の秘書を通じてエネ鉱省職員に言付けたが、その後の金の流れははっきりしないという。
 KPKは金が渡った可能性のある国会第7委員会の3議員の立ち回り先の家宅捜索するなど、議員の立件も視野に捜査を進めている。今後は、ジェロ・エネ鉱相が金の流れの事実を認識していたかどうかや、その程度の度合いも捜査の焦点になりそうだ。
■議員に「報酬」常態化か
 一方、ダフラン・イスカン国営企業相は地元メディアに対し、自身が国営電力PLNの社長を務めた09年から11年10月までの間にも、国会議員から「レバラン(断食月明け大祭)賞与」名目で金の要求があったことを公表した。
 ただ、PLNとして要求に応じたことはなく、国営企業相就任直後に、各国営企業代表にも応じないよう通達を出したと強調した。
 SKKミガスのトップによる汚職疑惑は昨年8月、シンガポール系石油会社の関係者がルディ長官に現金を渡している現場をKPKが摘発したことで発覚。その後の調べで元長官は複数回にわたり計160万ドルを受け取っていたことが判明した。(道下健弘)

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