チリウン〜チサダネ放水路の連結中止、河川改修に 州・県・市首長が不合意

 ジャカルタ首都圏の洪水軽減のためにジャカルタ特別州のジョコウィ知事は25日、チリウン川とチサダネ川を西ジャワ州ボゴール付近で結ぶ放水路の計画の中止を地元記者団に明らかにした。ジャカルタの洪水の主原因であるチリウン川をバンテン州タンゲラン県や市に流れるチサダネ川と連結する計画だったが、バンテン州副知事らが地元での洪水悪化の原因になるなどとして反対。知事のほか地元住民も抗議活動を起こしていた。
 ジョコウィ知事は同日、バンテン州のラノ・カルノ副知事や同州タンゲラン県のアフマッド・ザキ・イスカンダル知事、タンゲラン市のアリフ・ウィスマンシャ市長らとチサダネ川を視察。チサダネ川流域でも洪水が頻発していることを踏まえ、ジョコウィ知事は「放水路を建設する前にやるべきことがあるのは明らか」と河川周辺の違法住居の撤去や浚渫などの河川改修を実施することが先決と話した。
 ラノ副知事によると、河川の改修には10年ほどかかる見通しで「改修後ならば放水路の建設に取り組めるのではないか」と2河川を結ぶ放水路の建設は実質的に中止された。
 ジャカルタの中心部を流れるチリウン川は現在東西放水路で水量を調節しているが、雨期には頻繁に氾濫。ジョコウィ知事は新たな放水路建設の可能性を探っていた。
 ジャカルタ特別州では今年、洪水対策として26カ所の貯水池の建設のほか、州内76カ所にある貯水池の改修を進める。

■アンケ川改修開始へ
 バンテン州アトゥット知事が22日に2014年予算に拘置所で署名したため、同州を流れるアンケ川の改修がようやく開始できる見込みとなった。
 バンテン州の洪水対策予算は前年比40%増の1420億ルピア。アンケ川の氾濫が同州タンゲランの洪水被害の主因となっていたため、川幅を9メートルから43メートルまで大幅に広げ、護岸壁を建設するなど改修工事に着手する。完了次第、洪水被害が大きいレドゥグ川とサビ川も改修する。
 バンテン州でも1月、ジャカルタ同様に洪水被害が拡大。これまでに1万戸の住宅が浸水し、2万人が避難生活を余儀なくされている。

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