今年の選挙、違憲の可能性 大統領選・総選挙同時開催 憲法学者や政党
4月9日投開票の総選挙を目前に控え憲法裁判所が23日、大統領選挙法の一部条項を違憲と認定、2019年からの大統領選と総選挙の同時開催を決めたことに対し、法学者らから今年の選挙の合憲性を問題視する声が出ている。
憲法裁は今回の違憲審査で、効率的な選挙を実現し、有権者の賢明な選挙権行使を保障すべきだとの見解を表明。これまで5年に1度、同じ年の別の時期にそれぞれ実施していた総選挙と大統領選を同時に開催することを決めた。このため、これまで通り総選挙と大統領選を別々に開く今回の選挙の法的根拠は失われ、選挙そのものが違憲になるとの議論だ。
憲法学者のユスリル・イフザ・マヘンドラ元法務人権相は地元メディアに対し、憲法裁が判決を公表した時点で、違憲と判断された大統領選挙法の条項は廃止されると強調。大統領選だけでなく、同時開催を決めた判決に基づけば、総選挙を単独で実施することも違憲になると指摘した。
■猶予付き判決、前代未聞
憲法裁が19年選挙から導入としたことについて「今年の選挙に適用できない理由が、開催時期が迫っているからというのは不可解だ。5年後に有効との猶予付きの判決は前代未聞」と指摘し、「今回の選挙を強行した場合、選挙結果そのものが違憲とみなされかねない」と批判した。
グリンドラ党やハヌラ党なども、憲法裁が特定の政党からの圧力を受け公表時期を意図的に遅らせた可能性を指摘。一方で、民主党やゴルカル党、闘争民主党(PDIP)など大政党は判決を評価している。
総選挙委員会(KPU)は、昨年12月の時点で、有権者は約1億8500万人としており、マンモス選挙の準備は予定通り進めていくという。
憲法裁は判決文で、今年の大統領選、総選挙のいずれもすでに細則に至るまで定められ、これに基づいた選挙準備は最終段階にあると指摘。目前に同時開催に変更した場合、混乱が生じるとした。憲法裁の判決に対する上訴は認められていないため、19年からの同時開催は決定した。5年ごとに国会(DPR)、地方代表議会(DPD)、州、県・市議会の四つの議会選挙と大統領選挙を別の日程で実施してきたが、19年選挙には5選挙がすべて同じ日に投票されることになる。
これまで大統領候補の擁立要件は、総選挙で国会議席の20%(112議席)か、25%の得票率を獲得した政党・政党連合が正副大統領のペアを擁立できるとしていたが、同時開催が決まり、この規定自体が無効になる。