過激派指導者に思想教育 他の受刑者への影響懸念 国家テロ対策委

 イスラム過激派の精神的指導者として影響力を持つとされるアブ・バカル・バアシル受刑者(75)が刑務所内で、国家テロ対策委員会(BNPT)による過激思想を矯正するための教育を受けていることが分かった。 
 バアシル受刑者は、イスラム強硬派団体「ジャマア・アンシャルト・タウヒッド(JAT)」の代表。アチェ州で軍事訓練を行っていたイスラム過激派の活動資金を援助したとして、2012年2月に反テロ法違反の有罪判決を受けた。同年5月から、中部ジャワ州チラチャップ沖ヌサカンバンガン島のパシル・プティ刑務所で服役している。
 BNPTはバアシル受刑者に対し、穏健派イスラム学者の宗教講話に参加させるなど過激思想を矯正する教育を実施。刑務所を所管する法務人権省の担当者によると、バアシル受刑者は前向きな姿勢を見せているという。
 パシル・プティ刑務所にはバアシル受刑者らテロ以外の凶悪犯罪に関わった受刑者も服役。刑務所内で定期的に行われるイスラムの集団礼拝や講話集会で、バアシル受刑者と他の受刑者が接触する機会はあり、過激思想が広まる懸念もある。
 テロ犯が出所後に再犯する事例もあり、BNPTは現在、西ジャワ州ボゴール県にテロ犯の更生施設を建設。今年中の開設を目指し、受刑者の移送について法務人権省などと調整を進めている。バアシル受刑者も同施設に移す計画を立てている。
 BNPTのアンシャアド・ムバイ委員長はJATをテロ組織だと明言。JATの関係者がバアシル受刑者と1週間に2度面会していることを危険視しているとみられる。中部スラウェシ州ポソ県で軍事訓練所を作ったとされるサントソ容疑者(反テロ法違反で指名手配)の組織はJATの分派で、今もつながりはあるとされる。
 これに対し、JATのアフマド・ファティ事務局長は高齢のバアシル受刑者の健康状態を確認するとともに、説教を受けているだけだと説明。「なぜ会って話すことがいけないことなのか。宗教指導者としてのバアシル師からイスラムについて教わっているだけだ」と反論している。(上松亮介)

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