ジョコウィ知事が「待った」 アパート 港湾 モール ジャカルタ沖人工島構想

 30キロに及ぶ巨大防波堤の建設が予定されているジャカルタ湾で、17の人工島を造成するという構想にジョコウィ州知事が慎重姿勢を見せている。防波堤の内側約4千ヘクタールを埋め立て、商業や観光施設のほかに行政機関、港湾施設などを建設するという「ウォーターフロント計画」。総工費は200兆ルピアを超えると言われ、すでに区画の売却は終わっているが、埋め立て許可の見通しが立たないという事態に陥っている。
 ジョコウィ知事はこのほど、人口島の許可はファウジ・ボウォ前知事時代には1島分出ていたが、今年の9月に期限が切れていると指摘。国会第4委員会(農林水産担当)で埋立計画の漁民の影響について聞かれ、周辺住民や漁民の生活を尊重すべきとする委員会の主張に同調した。
 同知事は、多くの投資家から人工島の許可を求められているが、「現在、実現可能性調査をしており、2014年内に終えるまで分からない」と慎重姿勢を見せている。ジョコウィ知事は元々、埋め立て事業の外側に建設される巨大防波堤が高潮による洪水対策になるとして、基本的に建設を進める意向を示していた。
 人工島は約75万人が利用し、埋め立てや建設で50万人の労働需要を生むと見込んでいる。アホック副知事は人工島が洪水を軽減するとして、早急に進めたいとしていた。
 人工島の建設は2代前のスティヨソ知事時代(1997〜2007年)に構想が持ち上がった。埋め立て地はジャカルタの海岸線32キロに及ぶ。土地の区分は3種に分けられ、パンタイ・インダ・カプックの北岸など西部は商業地区、中央部は観光客などを誘致する娯楽場を作る。東部は倉庫や港湾施設を整備し、付近で働く漁師のための集合住宅も建設する。
 多くは民間資本に委ねられており、大手不動産開発のアグン・ポドモロは17のうち1島の160ヘクタールを埋め立て、米最大手設計事務所がデザインしたアパートや商業施設群「プルイットシティ」を計画。北ジャカルタ・プルイットにあるモールには模型が並び、すぐにでも土地を埋め立て、建設を開始できるという。
 ジャカルタ湾の埋め立て事業は、03年に当時の環境担当国務相が開発中止を決定。州や開発業者側との訴訟となったが、10年に最高裁は適切な環境評価が実施されていないとして、国務相の決定を認める判決を下した。
 その後、ファウジ前知事が再審請求し、国務相の決定は無効とする判断が下されたため、事業再開への法的根拠が整った。(高橋佳久、写真も)

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