幹部ら62人、一斉辞表提出 港湾機能に影響懸念 労組、来週ストの構え タンジュンプリオク港運営

 インドネシア最大の港タンジュンプリオク港を運営する国営港湾第2ペリンドで、取締役を含む管理職ら62人がリノ社長と対立して一斉に辞表を提出したことが17日までに分かった。同社労組もリノ社長の辞任を要求するストを決行する考え。社長と職員の内部対立が港湾運営にどう影響を及ぼすか懸念されている。
 内部対立が表面化したきっかけは、11日の労組による反社長デモ。キルノト代表は「リノ社長は自身の考えに同調しない者を解雇してきた。部下の熱意を受け入れようとしない」と社長を非難。このデモの後、労組と近いとされるチプト人事・総務取締役が、リノ社長との対立が決定的になり辞表を提出した。これに同調して、13日までに管理職ら61人が辞表を提出した。
 事態を重く見た国会第5委員会(産業)は16日、リノ社長を喚問。リノ社長はチプト氏に辞職するよう圧力を掛けたとの見方を否定。「問題的な行動をとる」チプト氏の側に二つの問題点があると主張した。①「第2ペリンド婦人会」の活動をめぐる対立で、労組を利する行動をとった②創業記念日の式典にキルノト労組代表が参加、スピーチをする段取りをした―を挙げた。最終的に「チプト氏が辞めるか、(ペリンドを統括する)ダフラン・イスカン国営企業担当国務相に報告するかのどちらかを選ぶことを求めた」と説明した。
 国会はペリンドを統括するダフラン国務相を近く喚問する構え。ダフラン国務相は16日、チプト氏も含んだ臨時取締役会で事態収拾を図ると語った。
 一方、労組は16日、リノ社長がチプト氏に圧力をかけ、事実上解雇したと主張。23、24日にストをすると発表した。プリオク港の操業が懸念されるが、「管理業務をするペリンド従業員がデモをしても、ターミナルは特に問題なく稼働する。影響は限定的」(同港関係者)。ただし、デモへの同調者が出たりした場合は影響が大きくなる可能性がある。
 今年6月にも同港に入るトラック業者などによる陸上運輸組合(オルガンダ)がペリンドを非難するストを決行した。オルガンダは国営企業で港湾を管理するペリンドが陸運事業に参入し、民業を圧迫、独占禁止法に抵触する行動をとっていると批判した。
 リノ社長は78年運輸省海洋局職員。中国・貴港(コイカン)港のマネージング取締役を経て2009年5月現職に就任。同社は収益を拡大してきた。ユドヨノ政権と深いパイプを持つとも言われる。リノ社長には数回電話取材を試みたが応答がなかった。第2ペリンドもコメントできないとしている。(吉田拓史)

◇ 第2ペリンド
国営港湾管理会社。インドネシアの港湾を4分割し、第1から第4まであるうちの一つ。国内最大の国際港タンジュンプリオク港を持ち、最も規模が大きい。プリオク港に隣接する地域に同規模の国際港カリバル港を建設している。

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