土地利用捜査で便宜か ホテルで180万円授受 地検検事と実業家逮捕 ロンボク島リゾート開発
土地紛争に絡む不正の捜査で便宜を図る見返りに、現金を受け渡ししたとして、汚職撲滅委員会(KPK)は14日夜、西ヌサトゥンガラ州中部ロンボク地検プラヤ支部長検事のスブリ容疑者と、贈賄側の実業家ルシタ・アニ・ラザク容疑者をホテルで現行犯逮捕した。
2人の逮捕容疑は14日午後8時15分ごろ、同県スンギギのホテルの客室で面会し、現金1万6400ドルと2300万ルピア(計約188万円)を授受した疑い。KPKのバンバン・ウィジョヤント副委員長は15日の会見で、贈収賄の動機について、ルシタ容疑者が抱えていた土地紛争が関連していると説明した。KPKは密告を基に、2週間ほど前から両容疑者の身辺を捜査していたという。
区検は4月、同県セロン・ブラナック海岸の土地利用に関する証明書を偽造した容疑で、スギハルタ実業家の捜査に着手し、このほどプラヤ地裁で禁錮3年を求刑した。地元メディアによると、スギハルタ被告は問題の土地をめぐり、ルシタ容疑者と事業上の競合関係にあったため、恣意的な捜査を依頼した可能性が指摘されている。
KPKは他にも、事件に関与したとみられるプラヤ地裁所長や判事2人、開発業者のバンバン・ウィラトマジ・スハルト容疑者に海外渡航禁止処分を下した。
バンバン容疑者は元国民協議会(MPR)議員で、野党ハヌラ党幹部。現在、国家人権委員会委員を務める。ロンボク国際空港近くのセロン・ブラナック海岸にある問題の土地では、リゾート開発事業を進めていたとみられる。
検察の不祥事では2008年、収賄罪でウリップ・トリ・グナワン最高検捜査班長に禁錮20年が下った。この事件では最高検幹部と「女性司法マフィア」アルタリタ・スルヤニ氏(贈賄罪で禁錮5年、恩赦を受け釈放)との癒着が発覚。多数の最高検幹部を自身が経営するリゾートでのパーティーに招待したり、海外出張費などを肩代わりしたりして、複数の財閥オーナーの汚職事件の捜査を中止させていたことが明らかになった。以来、最高検は検事の監視機関を設置し、不正関与者を厳重に取り締まってきたが、捜査や裁判に絡み賄賂が使われる事案は後を絶たない。(道下健弘)