民主化指数が低下 暴力で言論の自由妨害 政府調査
政治法務治安担当調整省が11日に発表した2012年版のインドネシア民主化指数(IDI)は総合62.63で、前年比で2.85ポイント低下した。憲法が保障する意見公表の自由を暴力で阻もうとする一部市民の活動が横行しているためとみられる。
調査は民主化の進ちょく状況を、市民・言論の自由に代表される市民的自由や政治的権利、民主主義の制度の計3分野・11項目について聞き取りや報道、公的文書などを基に評価。州別の総合値は、ジャカルタ特別州の77.72が最高で、アチェ州の54.02が最低だった。
09年に始まり、今年で4回目。総合評価は09年に67.30、10年に63.17、11年に65.43と増減を繰り返してきたが、今回が最低となった。調査は中央統計局(BPS)や内務省、国家開発計画庁(バペナス)、国連開発計画(UNDP)が協力した。
ランゲン・スリスティヨソ事務所長は「インドネシアの民主主義が不安定と示された。意見公表の自由が多くの場合、政府ではなく市民の一部によって侵害されている」との見解を示した。
調査結果を受け、マーフッド前憲法裁長官は「インドネシアの民主化は失敗の危機にあり、改善が急務だ」と指摘。少数のエリートにしか利益をもたらさないとの失望が社会に広まり、選挙など民主主義の制度を金銭的な利益のためだけに利用する人が増えたことや、所得格差を示すジニ係数(1に近いほど不平等)が0.42と高水準にあり、市民の不平等感が高まっていることを挙げた。(宮平麻里子)