【ジャカルタフォーカス】頑固副知事、退役軍人組合を批判 プラザスマンギ渋滞 原因はモールに入る車

 首都目抜き通りのガトットスブロト通りとスディルマン通りが交わるスマンギ立体交差点は、ジャカルタで最も渋滞が深刻な場所の一つだ。アホック副知事はその交差点に面している商業モール「プラザ・スマンギ」の入り口を渋滞の元凶と名指しした。退役軍人組合がモール事業に参画しており道路の改善を望まないため、副知事は組合を厳しく批判した。
   4日午後6時、帰宅ラッシュで混雑するスマンギ立体交差点の大通り3本が交わる地点。ガトットスブロト通りの右端1車線にモールに来た乗用車が列をなしている。モールの警備員2人がスディルマン通りから伸びる合流路(4車線)の車の進行を制止して車を次々にモールに誘導していく。合流路には長蛇の車列。モールへの進入を防ぐ分離帯は、モール入口の前だけ取り除かれている。
 しかも、3日午後2時〜3時まで出入口を観察していると、モール敷地内を抜け道として利用する車が多いことがわかった。乗用車の多くは裏の出入口に直行し、出口から出た乗用車はクニンガン方面への小道を進んでいき、サトリオ通りに出る。クニンガンへはこれが最短距離。ガトットスブロト通りを南下すると、ラスナサイド通りとの交差点で渋滞するため、それをさける抜け道のようだ。
 これまでもモール出入口が渋滞の一因と指摘されてきた。2010年9月の警視庁交通局、11年5月の州運輸局がモールに入れないように分離帯を設置した。だがいずれもモール側が分離帯を除去。州政府は11年6月に「州が代替の出入り口設置を助ける」としてこの問題を塩漬けにした。

■背景に退役軍人の利権
 プラザスマンギは大手財閥リッポーが退役軍人組合の土地に建設・運営する。03年11月5日のコランテンポ電子版によると、運営会社は30年間の運営権と引き換えに、一定の配当を組合に渡す契約を結んだ。従来からの国軍の円盤形の音楽ホールはモール内に残され、退役軍人組合の事務所もモールに併設された17階建ての「退役軍人ビル」に入居する。国軍はスハルト時代も権力中枢をなし、民主化後も独特の政治力を保つ。モールの入口を塞ぐことには国軍から分離した警察など各当局が尻込みするようだ。組合は11年5月の分離帯設置時は紅白旗と竹槍を持った「独立兵」のデモをした。
 しかし、「トゥガス(頑固)」で知られるアホック副知事は違った。先月27日「プラザスマンギの問題は最も急を要する。出入り口は公道にはみ出しており、渋滞を生み出している」と口火を切り、同通りが混雑する午後4時〜午後8時の間、入口を閉鎖する案を示した。副知事はさらに2日記者団による取材に「プラザスマンギが反対する場合は営業権を停止する」と圧力をかけ「過去の失敗は問わない。これは和解できることだ。(リッポーは)われわれと対立する退役軍人に利益を与えている。無礼だ」と非難した。
 退役軍人組合、リッポーとも5日までに取材に応じていない。地元メディアにも見解の表明をしていない。

■ サウジ王家の土地も
 この合流地点から400メートル南下した所にあるチャワン・グロゴル高速道スマンギ第1入口前も大渋滞の名所。アホック副知事は4日、国営高速道路運営のジャサマルガに同入口の閉鎖を打診した。ジャサマルガは1日の利用台数は1万4千台と多いため、代替の入口が必要と返答。通りをさらに400メートル南下した5千台が利用する第2入口を拡張する案が浮上したが、道幅を広げなければならない。そのために州政府は第2入口付近の土地を所有するサウジアラビア王家に譲渡を打診したが、応じず、改善策は壁にぶつかっている。第2入口は渋滞を解消するため州政府がジャサマルガに要望し、2012年から開かれた経緯がある。(吉田拓史、写真も)

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