渋滞、洪水対策で39%増 毎年多額の未執行予算残る 首都の来年予算案
ジャカルタ特別州政府は4日、州議会に2014年の予算案を提出した。歳出総額は今年の予算から38.7%増の大幅増となる69.5兆ルピア(約6100億円)。渋滞緩和や洪水減災など目玉政策が全体の28%を占めた。ジョコウィ州政初の予算編成。今後の審議、執行が注目される。
予算案を提出したジョコウィ知事は主要政策に渋滞や洪水などを挙げ、「長引く諸問題の解決が私たちの使命だ」と語った。
州政府は渋滞緩和策として都市高速鉄道(MRT)建設に向けた土地収用に5210億ルピア、トランスジャカルタやバスの購入に計4兆6100億ルピアを計上。洪水の減災策には土地収用に1兆6600億ルピア、防潮堤の整備に1792億ルピア、河川の浚渫に1403億ルピアを計上した。
州政府は69.5兆ルピアの歳出に対し、62.21兆ルピアの歳入を見込んでいる。不足分は前年の未執行分などを当てる。歳入は経済成長と電子徴税システムの導入で13年の40.64兆ルピアから53.07%増えるとの予測だ。州政府は14年に州経済が6.1〜6.5%成長すると見込んでおり、知事は来年の総選挙の経済効果にも期待した。
15日までに予算案が可決されなければ、年初から執行が遅れ、事業が停滞する。知事は州議会のフェリアル・ソフヤン議長ら議員を公邸に招いて予算案について説明するなど、根回しに力を入れている。
■ 出納制度と計画に問題
予算の執行状況などを監視する非政府組織(NGO)「予算透明性フォーラム(FITRA)」のウチョック・スカイ・カダフィ氏は予算審議について、州議会の諸政党がそれぞれ別々の事業に難色を示し、意見の集約が難航すると話す。前年に執行できず余った分も翌年の歳入に組み込んで審議するため、毎年、政党間の調整に時間がかかるという。
予算案が可決しても、その後の執行過程にも問題点が多い。インドネシアでは中央政府、地方自治体を問わず、事業が遅れがちで、年末に執行できなかった多額の予算が余って問題になる。
FITRAによると、12年の中央政府予算1069兆ルピアのうち、同年11月の時点で27%にあたる290兆ルピアが未執行だった。
ウチョック氏は行政の出納システムと事業計画に問題があると指摘。同氏によると、予算は1〜12月の年度で編成されるが、事業に必要な費用は同じ年の税収で賄う。
納税期限は毎年3月末に設定されているため、行政の末端は費用がそろう4月頃まで事業を開始できない。3カ月を無為に過ごす状態になっているという。事業を開始しても計画がずさんで円滑に業務が進まず、結果とし多額の未執行予算が翌年に繰り越されている。(田村隼哉)