国産車計画が再浮上 コスト高、実現に疑問符も 村落向け輸送車

 低価格車政策と渋滞問題をめぐる議論が過熱する中、ヒダヤット工業相は19日、村落向けを想定した低価格の小型ピックアップトラックの開発を再開すると明らかにした。国営、地場企業による製造を助成し、「国産車」としての普及を目指す。ただ一度はとん座している上、コスト面の折り合いなど課題は依然多く、実現は難しそうだ。  
 ヒダヤット工業相は地元メディアに対し、「すでに車のデザインは完成している。現在、国営企業にプログラムを実現させるよう要請している」と述べ、国産車製造に意欲を示した。
 助成対象は村落での利用を想定した排気量1000cc以下のピックアップトラック。4千〜5千万ルピア(約35万〜44万円)と「超低価格」での販売を目指すという。工業省と科学技術評価応用庁(BPPT)が国営企業や地場系企業と協力して開発する。
 計画は2010年に出された大統領令に基づき開始。工業省とBPPT、国営鉄道車両製造インドネシア鉄道産業(インカ)が試作品を作ったが中断。地場系のスーパー・ガシンド・ジャヤ(バンテン州)とフィン・テトラ・インドネシア(西ジャワ州)も製造したが普及していない。

■利益確保の見通し薄
 適用車の販売が開始された低価格グリーン・カー(LCGC)プログラムで、都市部の渋滞の悪化を引き起こすとの批判が高まる中、ユドヨノ大統領は今月14日、「LCGCプログラムは村落での輸送向けを想定しており個人向けではなかった」と発言。批判逃れとの反発を受けた。
 その後ヒダヤット工業相は「村落向けではない」と修正。計画再開は混乱収拾と「低価格の国産車製造」を掲げた人気取りの可能性もある。
 インドネシアにとって、開発から自国企業が担当する国産車は念願。これまで何度も国産車製造を試みてきたがいずれも普及していない。輸送車製造を国営企業に任せるのは、多額の開発費用が割に合わないためだ。ヒダヤット工業相も利益確保の見通しが立たないことを認め、「計画に参加しやすくするためのインセンティブをすぐに話し合う」と語った。
 いすず・アストラ・モーター・インドネシアの進藤武夫セールス・マーケティング・サービス担当取締役は「価格面でも技術面でも実現性は低いだろう」と話した。(堀之内健史)

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