降灰で6000人避難 10年以来、最大規模の噴火 北スマトラのシナブン山
18日朝、北スマトラ州カロ県のシナブン山(標高約2460メートル)が再び起こした噴火は2010年8月以来、最大規模になった。9月から相次ぐ噴火で6千人以上が避難を強いられ、農作業が止まるなど周辺住民の生活に影響が出ている。
午前7時4分、シナブン山の火口から上った噴煙の高さは、最高記録の約8千メートルだった。火山地質災害対策局(VMBG)は近隣の村で火山灰が1〜2.5センチ積もっているのを確認。同山から約20キロのブラスタギ郡でも降灰があった。健康被害を被る可能性があるとして注意を呼び掛けている。
シナブン山から約4.3キロ離れたクタ・ンバル村のトマト畑にも火山灰が積もった。急いでトマトを収穫したギンティンさん(43)は日刊紙コンパスの取材に「まだ熟しておらず、売値が下がる」と肩を落とした。通常の相場は1キロ約4千ルピアだが、早期出荷で半値まで下がりかねないという。
カロ県農業局によると、シナブン山の相次ぐ噴火で、すでに農地1370ヘクタールに火山灰が積もるなどしており、18日の噴火で影響拡大が予想されるという。
シナブン山は9月から噴火を繰り返し、VMBGは警戒レベルを4段階中3番目の「シアガ(警戒)」に設定。国家防災庁(BNPB)によると18日までに、6155人が避難生活を続けている。このうち多くが農家だという。
19日の時点で、北スマトラ州メダン近郊のクアラナム空港に離発着する飛行機に影響は出ていない。