高視聴率でシリーズ化へ ドラえもんに並ぶ 特撮ヒーロー「ビマ」
日イ合作の特撮ヒーロー番組「ビマ・サトリア・ガルーダ」(ガルーダの戦士ビマ)=民放RCTIで放映中=がシリーズ化される見通しとなった。今年6月に放映開始して以来、視聴率が長寿アニメ「ドラえもん」と並び、同じ日時に他局が放映する人気アニメ「ボケットモンスター」や「ドラゴンボール」を超えるなど、インドネシアの子どもたちの支持を獲得。今後も続けて毎週日曜の朝、ビマを通じて正義や友情、家族への愛情などを伝えていく。
放映開始以降、視聴率は約2・5%を獲得、テレビ局11局の中でのシェアは20%に上った。ポケモンやドラゴンボールなどを超え、インドネシアで24年間放映してきたドラえもんに並んだほか、他局が同時間帯に放映した仮面ライダーの2倍以上に達した。14日には今年の放映予定分の撮影が終了し、来月で全26話の放映を終える。
ビマは、仮面ライダーシリーズを手掛けてきた石森プロと、インドネシア最大のメディアグループ「MNC(メディア・ヌサンタラ・チトラ)」が共同で制作。玩具などの関連商品をバンダイが販売、伊藤忠商事インドネシアがライセンスを管理し、総合的にコンテンツを開発する新しいビジネスモデルとしてスタートした。
伊藤忠商事インドネシアの後藤雅行氏によると、インドネシアでの撮影には当初、日本の石森プロから監督やカメラマン、スタントマンの3人が参加していたが、その数も段階的に増え、最終的に7人になった。日本人がいる制作チームのポジションにも必ずインドネシア人を置き、合作体制を固めた。日本人が特撮技術を移転し、今後はインドネシア人スタッフだけの手でシリーズ化していってほしいとの考えからだ。
日本の仮面ライダーをそのまま持ってくるのではない。いかに全面的にローカライズし、インドネシアの子どもたちに親しみを持ってもらえるヒーローを生み出すか。
モナス(独立記念塔)やタマンミニなどのジャカルタの観光名所、普段から市民が見慣れている場所で撮影。本格的なアクションや変身ポーズを見せ場に配し、炎に包まれた神鳥ガルーダとなって敵を撃退するヒーローを創り上げていくために随所に工夫を凝らした。
後藤氏は「日曜の朝、早起きしてヒーロー番組を見る。インドネシアの子どもたちの習慣として根付くまで続けていってほしい」と話した。
■ JKT仲川さん出演 17日朝、RCTI放映
日イ合作の特撮ヒーロー番組「ビマ・サトリア・ガルーダ」に、アイドルグループJKT48の仲川遥香さんが出演する。インドネシア人の俳優との熱演を披露する。
ビマにはJKT48のステラ・コルネリアさんがレギュラー出演してきたが、日本人が出演するのは初めて。ドラマでは暗黒の世界を支配するラスプーチンから逃れてきた日本人少女の役を演じる。「日イ友好の懸け橋」となるよう登場人物を配した。
台詞はすべてインドネシア語。来月でインドネシア滞在1年を迎える仲川さんにとっても初めてのチャレンジだ。ステージでは、メンバーやファンとのやりとりもインドネシア語で不自由なくこなしているが「長い台詞も多く、ステラさんに教えてもらいながら必死で覚えた」。撮影現場では、初めて会う人も多い日本とは異なり、すでに旧知のスタッフや俳優ばかりで和気あいあい。リラックスして臨めた。
幼いころ、姉と一緒に仮面ライダーを見ていたという。「まさか自分が出ることになるとは思わなかった。インドネシアにいるから巡ってきたチャンス」と目を輝かせた。
出演するのは第21話。民放RCTIで17日(日)午前8時半、再放送は23日(土)午後3時半。
(配島克彦、写真も)