「エコカーは村落向け」 非難噴出で言い逃れ? 渋滞問題で大統領

 「こんなつもりで政策を作ったわけではない」。低燃費・低価格車への優遇税制政策「低価格グリーン・カー(LCGC)プログラム」について、ユドヨノ大統領は14日、「以前に私が伝えたことが曲解されている」と述べ、元々、村落部の人の移動を想定したものと強調した。首都の渋滞問題をめぐり、政策に反対するジャカルタ特別州のジョコウィ知事との間で責任を転嫁するような発言が相次いでいる。同政策が渋滞悪化を招き、非難の矛先が自身に向くことを回避するための「言い逃れ」とも言えそうだ。
 地元各紙によると、大統領は同日の閣議の冒頭で、政策について言及。「覚えているかもしれないが、低価格車政策は村落部の輸送用を想定したもので、個人向けではなかった。環境に優しいというのも、電気自動車やハイブリッド車を望んでいた」と話した。
 発端となったのは、地方代表議会(DPD)がLCGCについて、大統領への質問権を行使する意向を示したこと。大統領は「個人向けのものではなかった」と、議会に対して明確に説明するよう関係閣僚に指示した。
 一方、日系大手自動車メーカーの幹部は「3年ほど前に、農村部の輸送向けの低価格車を政府が望んでいるという話を聞いたことがあったが、LCGCとは別の話だったと認識している」と困惑する。別のメーカー幹部は「政府から相談を受けて低価格の小型トラックを検討したことがあったが、最終的に地場系メーカーに任せるという話だった」と話した。
 ヒダヤット工業相も「LCGCと低価格の輸送車は別のもの」と説明した。同省は開発に向けて予算を確保したが、その後、研究開発の権限が研究技術担当国務相事務所に移管。国営企業が担当することになったが、とん挫している状況という。
 時間をかけて進めてきたLCGCは、国の産業を大きく左右する重要な政策だけに、ユドヨノ大統領自身も経過の報告を受けたはずだが、ここへ来て、「自分は知らなかった」という姿勢を見せることは、今後の火種にもなりそうだ。
 大統領は今月初旬、先月ブルネイであった東アジア・サミットで各国首脳から、ジャカルタの渋滞問題について苦情を受けたとこぼし、自治体の問題は地方が解決すべきと主張。ジョコウィ知事は「中央政府はジャカルタ州を支援してくれているが、LCGCだけは別」とし、「一般車を免税にするなら、公共交通機関の車両も免税にすべき」とやり返した。
 以前からジョコウィ知事はLCGCの導入が首都の渋滞を一層悪化させるとして、政策に反対の意向を表明。中央政府に抗議の書簡を送り、ブディオノ副大統領が事態収拾に動いていた。

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