民間資金活用狙う 遅滞するインフラ投資 総額380兆ルピアの25件優先
2025年までのインドネシアの包括的な開発計画「経済成長促進拡大マスタープラン(MP3EI)」で、政府は2014〜17年に開始を検討する総額448億ドル(約4兆4800億円)の56件のうち、33件を官民協力(PPP)の枠組みで進める考えだ。インフラ予算を確保できない政府は官民協力を切り札と位置付けているが、制度的欠陥の解決が依然課題となっている。地元各紙が報じた。
ハッタ・ラジャサ経済調整相が13日、ジャカルタで開かれたインドネシア国際インフラ会議で明らかにした。経済紙インベスターデイリーなどによると、ハッタ調整相は講演で、リストアップされた56件のうち総額380兆ルピア(約3兆4千億円)の25件を優先的に推進すると語った。2011年5月からのMP3EI事業の総投資額は355兆ルピアに達したが、投資元の内訳は国営企業30%、政府36%、民間は5%で各者による協力が28%。民間の比率が低いことに不満を示し、インフラ開発に民間資金を引き寄せたい考えを改めて示した。
地方交付金を除いた歳出の27.3%をエネルギー補助金が占め、補助金削減には政治リスクが伴うため、国家予算は硬直化。タイ、マレーシアに比べ、交通インフラが未整備で物流コストが高いのがインドネシア事業のネックと言われるが、政府はインフラ予算を思うように確保できていない。
そのため、政府が提供するはずのインフラ投資を民間から捻出できるようにする官民協力の枠組みが重要になる。外国企業も官民協力の枠組みでインドネシアのインフラ開発事業への参画を目指している。
だが、民間からは制度的欠陥を指摘されている。英字紙ジャカルタグローブによると、国家開発計画庁(バペナス)のバスタリ・インドラ民間協力局長はインフラ会議で、民間は官民協力の33件に興味を示しているが、煩雑な行政手続きや難解なメカニズムを懸念していると記者団に説明した。国土庁(BPN)から開発予定地を認定され、大蔵省などの支援を受けるのに半年かかり得る状況だ。
政府は今月初旬、一部分野での外資規制を見直す方針を示し、外国直接投資を拡大させることでGDP(国内総生産)成長率の失速を抑え込もうとしている。(吉田拓史)
◇MP3EI
政府が2011年5月に策定した全国にわたる包括的な開発計画。25年までの開発計画を含みインドネシアを世界で10位以内の経済大国に押し上げることを目標にしている。7月に大統領令を改定し、14〜17年の計画を56件に定めていた。