露天商を市場内へ 移転先は不人気の上階 南ジャカルタパサールミング

 ジャカルタ特別州は13日、南ジャカルタ・パサールミングの伝統市場を改修し、市場周辺で営業していた露天商843人を移転させた。市場付近にはバスターミナルと国鉄駅があり交通量が多いが、露天商の一部は大通りで営業し渋滞の原因にもなっていた。
 州は6月から特に渋滞の深刻なラグナン・ラヤ通りなどで営業する露天商と違法駐車場の撤去を開始。露天商が市場内のビニールシートなどで作った店舗、商店主が自主的に増改築した店舗も撤去した。当初は露天商らが頑強に抵抗。州警備隊が帰途に着く午後5時になると、露天商がラグナン・ラヤ通りに店を出すいたちごっこを続けていた。
 州公社によると、市場周辺には露天商が1114人いたが、州が伝統市場への入居を募ったところ、入居者は843人に絞られた。空きテナントがまだあり募集を続けるという。
 だが、移転先のビルは改修前は入居者のいない状態だった。買い物客が足を向けたがらない2階以上にある。先に進められた中央ジャカルタ・タナアバンでの露天商移転では、移転先の客足が悪く、州による助成を受けているにもかかわらず営業をやめる商店主が続出している。
 ジョコウィ知事は伝統市場に入居する零細個人商店主らが競争力をつけるべきとの考えだ。同日の改修完了式典では「企業家は競争力を持たなくてはならない。パサールを改修したが、州が助け続けるべきではない」と語った。
 個人商店はスーパーマーケットなど大型商業施設に年々押されているが、ジョコウィ知事は伝統市場の「近代化」を進めることで競争力を高めたい考えだ。州内35カ所の伝統市場を改装するとしている。 
 露天商移転はジョコウィ知事が中部ジャワ州ソロ市長時代に実施した政策。タナアバンがジョコウィ知事就任後初めての大規模強制撤去になり、ジャティヌガラ、クバヨランラマなどでも撤去を進めている。(吉田拓史、写真も)

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