民主党首選へ不正流用 汚職撲滅委「公金の組織的横領」 ハンバラン汚職で初公判
西ジャワ州スントゥールのハンバラン競技場・選手宿舎建設事業に絡む汚職事件の公判が始まった。贈収賄者を訴追した汚職撲滅委員会(KPK)は、ユドヨノ大統領率いる民主党の若手幹部たちが事業予算を予定額の12倍以上へと水増しし、党首選資金に不正流用したと指摘。省庁や国会、国営企業の幹部に賄賂をばらまきながら、党関係者らが運営する企業へ工事を請負させる構造汚職が明らかになった。
ハンバラン建設事業は、ユドヨノ大統領の後継者候補の1人だったアンディ・マラランゲン青年スポーツ担当国務相=当時=が2009年10月、同相就任直後に前任者の計画を大幅に改定したもの。国営ゼネコンのアディ・カルヤ幹部らと協議し、当初2千億ルピア程度の予算案を2兆5千億ルピアまで引き上げ、国会が承認した。
同事件初の被告人となったのは、アンディ・スポーツ相の部下だったデディ・クスディナル元同相事務所総務局長。検察は7日、起訴状朗読で、アンディ氏の弟チュル氏らが暗躍し、国会の予算承認、党幹部の親族らが所有する企業への仲介をしていたと指摘。下請けは約40社に上ったと明らかにした。
また競技場や選手宿舎建設など、ハンバランのスポーツ施設建設事業の用地を確保するため、スポーツ相事務所幹部は国土庁長官や国会第10委員会委員長らに賄賂を渡していたとした。
これまで事業費の使途は詳細不明だったが、一部は2010年5月、西ジャワ州バンドンで開かれた民主党党首選に不正流用されたことが判明した。ユドヨノ氏の推薦を受け立候補したアンディ氏や部下が着服したほか、対抗馬のアナス・ウルバニングルム前党首=容疑者断定、捜査中=がアディ・カルヤ幹部から計22億1千万ルピアを受領。全国の地方支部幹部325人から支持を得るため、携帯端末ブラックベリー配布やレンタカー、宿泊費などに充てたと指摘した。
民主党党首選への公金不正流用は、これまでアナス前党首の側近だったナザルディン被告(収賄罪で禁錮7年、再審請求中)が暴露。これに対し「指名手配され、逃亡中の容疑者の虚言」と党幹部たちは一蹴してきたが、KPKは約2年かけ、被疑者や関係者を取り調べ、各省庁や国会の執務室を家宅捜索、物証を集めてきた。KPKのブシロ・ムコダス副委員長は「国家予算の組織的横領」との見方を示している。
ハンバラン汚職では、現職閣僚として初の容疑者となり、辞任したアンディ氏や、自身を見放したとしてユドヨノ氏に反発するアナス氏ら党幹部の訴追が迫っている。