外資規制緩和へ 空港運営や通信など 成長減速で処方せん
政府は6日、空港運営などで外資規制を緩和する方針を打ち出した。経済減速が鮮明化する中、外国直接投資の拡大を処方せんにする考えだ。
政府は大統領令(2010年第36号)で定めた17分野にわたる外国投資のネガティブリストを3年ぶりに改定する方向で協議を進めている。ハッタ・ラジャサ経済担当調整相は同日、地元経済団体などとの協議を経て計画を最終判断する考えを示した。地元紙によると、空港・港湾の管理会社の外資所有が100%(これまでは0%)可能になるほか、通信業(固定電話)、映画館運営を含む映画配給業、製薬業の外資保有率引き上げなどを検討している。また、広告業については、東南アジア諸国連合(ASEAN)内に限り、51%(同0%)の保有を認める方針だ。
マヘンドラ・シレガルBKPM(投資調整省)長官は6日、「外国人投資家には生産活動の拠点としてインドネシアを活用し、付加価値産業に投資を向けてもらいたい」と語った。空港、港湾に関しては官民パートナーシップ(PPP)の枠組みを通じる必要があると説明。同長官は「空港、港湾の資産自体は国内企業が保有しなければならない」としている。
■構造改革が課題に
中央統計局が6日発表した統計で、第3四半期の国内総生産(GDP)成長率が5.62%とこの4年で最低を記録、景気減速が鮮明になっていた。
政府は今年すでに2回緊急経済対策を発表してきた。8月末発表の対策では▽経常収支改善▽経済成長維持▽購買力維持▽投資加速―の4本柱を打ち出し、中銀などによる金融システム安定化政策と連動させた。10月末には、企業による事業開始手続きを中央政府機関に一元化することなどの投資環境改善案を来年2月までに実施すると発表していた。
政府は6月に補助金付き燃料の値上げを実施し、その前後から進んだ物価上昇に苦しんだ。同じ時期に米国の量的緩和縮小観測が浮上。ルピア安も進み、経常赤字、財政赤字の拡大などインドネシア経済に懐疑的な見方が出ている。現在は米国の量的緩和縮小が先延ばしされ、燃料値上げによるインフレ圧力が和らいだため小康状態だが、構造改革が喫緊の課題だ。
中銀は今年のGDP成長率を5.5〜5.9%と予測。来年のGDP成長率でも5%台の予測が多い。一方、元中銀総裁のブディオノ副大統領は6日、経済見通しについて「個人消費が維持され、政府支出が拡大するため、GDP成長率は第4四半期に改善する」と語った。(吉田拓史)