デモ鎮圧に自警団動員 国際機関に調査要請 労組

 西ジャワ州ブカシ県の東ジャカルタ工業団地(EJIP)で先月31日、最低賃金引き上げを求める労働組合と自警団が衝突した事件で、デモを動員した主要労組や人権団体は4日、地元有力者が自警団やチンピラを動員したと批判、暴力事件として国家警察に捜査を要求し、労組国際機関の国際労働組合総連合(ITUC)にも調査を依頼したと明らかにした。
 西ジャワ州ブカシ県にある東ジャカルタ工業団地(EJIP)入口付近で31日、自警団のプムダ・パンチャシラが労働組合連合のデモ隊や警備員に襲い掛かり、刃物で切り付けるなどして28人が負傷、このうち日系企業従業員を含む4人が重体となった。近くの病院へ搬送され、治療を受けている。警視庁は襲撃した10人の身柄を拘束した。
 襲撃事件について、人権団体コントラスや法律擁護協会(LBH)、労働運動全国連合(KNGB)は独自調査を実施。この結果、地元住民ではない自警団やプレマン(チンピラ)がデモ鎮圧のために動員されたと指摘。10月31日の午前5時半に黒いリボンを付けて集合し、厳戒態勢を敷いた警察が近くにいたにもかかわらず、労働者を襲ったという。
 襲撃の背後に産業廃物処理業者協会(アスペリンド)などがいると名指しし、地元有力者が黒幕となり、自警団を動員したと批判。地元警察も自警団の暴力を放置したとして、国家警察やユドヨノ大統領に事件究明を求める姿勢を示した。
 コントラスのハリス・アズハル氏は「複数の地元有力者が事前に開いた会合に出席していた。襲撃は労働運動縮小など特定の意図を込めた計画的なものだ」と批判した。
 デモを組織したインドネシア労働組合連盟(KSPI)のサイド・イクバル会長は「重傷を負った労働者は手術代を払えない。4億ルピアを誰が負担するのか」と話し、ITUCに事件の調査を依頼したと明らかにした。ITUCの代表者が近く来イし、調査するという。
 EJIPに入居する日系製造業経営者は、28日から、団地正門前で地元産廃業者が労組デモに反対するデモを起こしており、今回の衝突につながったと指摘する。31日の労組デモには、正門近くに位置する企業の工場に労働者が逃げ込んだのを自警団のメンバーが追いかけ、石の投げ合いになるなど激しい衝突が起きたという。  (赤井俊文)

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