あやし〜い、上位者 世論調査で買収か 人気のジョコウィ氏外す
来年の総選挙(4月)、大統領選(7月)を控え、世論調査が花盛りだ。中には、最有力候補のジョコウィ・ジャカルタ特別州知事とプラボウォ・スビアント氏の2人を外した調査もあり、特定勢力が買収して巧妙に操作しているとの批判が相次いでいる。
物議を醸しているのは、インドネシア調査研究センター(LSI)が20日に発表した調査。ジョコウィ知事とプラボウォ氏の「2強」を、出馬要件を満たすのが難しいとして外した。その代わりに他の調査で低迷するゴルカル党のアブリザル・バクリー党首や闘争民主党(PDIP)のメガワティ党首が上位を飾った。LSIは3月に発表した世論調査でも、2強を抜いていた。
ここに「政治的意図が働いた」との批判が相次いだ。グングン・ヘルヤント政治リテラシー研究所所長は調査発表2日後の記者会見で「『普通』の民主主義国で、調査機関が特定の政党、大統領候補から資金を提供されれば、資金提供者を助けるのは当たり前だ」と痛言。LSIが特定の資金を受け取った徴候があることを遠回しに指摘した。
有力候補のプラボウォ氏も25日の講演で「正しいものとそうでないもの、清潔な者と汚職者の間には明確な違いがある」と暗にLSIを批判。3月の調査発表時には「誰があの調査に金を払ったのか」と怒りをあらわにしていた。民間調査機関は資金繰りに苦しんでいる場合も多く、政治家などからの援助を受けることもあると言われる。
一方で「信頼度が高い」とされるインドネシア国際戦略研究所(CSIS)、国立インドネシア科学院(LIPI)、主要紙コンパスなどの調査は、ジョコウィ知事が首位を快走し、プラボウォ氏が追走する形勢を伝えてきた。
世論調査の結果は政局に大きく影響する。「ジョコウィ知事優勢」の調査結果は、主要政党が知事を自陣に引き込む動きを誘発。LSI調査では僅差の2位につけたバクリー氏は、党内では人気不足などを理由とした「バクリー降ろし」に直面している。(吉田拓史)