ムルパティ視界不良 燃料費滞納、路線運休へ 国営企業相は「静観」か

 国営航空ムルパティ・ヌサンタラが苦境を迎えている。ダフラン・イスカン国営企業担当国務相が2度経営陣を刷新したが、赤字体質は依然改善していない。滞納が原因で一部の燃料供給が絶たれ、路線運休も出るなど、待ったなしの状況だ。
 国営石油プルタミナは23日、ジャカルタ、西ジャワ州バンドンなど5空港でのムルパティへの燃料供給を停止したと明らかにした。プルタミナは停止の理由をムルパティが燃料代1200億ルピア(約11億円)を滞納し、両者間の契約で定めた上限の千億ルピアを超えたと発表した。ムルパティは燃料供給が停止された空港での発着便は休航せざるを得ない。
 プルタミナとムルパティの燃料代滞納をめぐる紛争は2回目だ。プルタミナは2011年10月にも、06年から滞納した5500億ルピアを理由に燃料供給を停止し、スラバヤ、マカッサルの発着便が休航になった。
 ダフラン国務相は同日、記者団に対し「ムルパティにも、プルタミナにも破綻してほしくない」とムルパティ支援に消極的な考えを示した。運輸省も経営には立ち入らないとしたため、6兆ルピアの負債を抱えるムルパティが滞納分の支払いを工面するのは難航しそうだ。
 ムルパティ広報は「中部と東部をつなぐ便は依然運行している」とし、滞納の原因については「プルタミナへの滞納額が増大したのはルピア安による燃料費増大が原因だ。ほかの航空会社でも同じことが起きている」と釈明した。
 ムルパティは近年、採算の悪い東部路線を抱え慢性的な経営危機に直面しており、乗客乗員計27人が死亡した11年の西パプア・カイナマでの墜落事故が追い打ちをかけた。
 12年に公的資金5610億ルピアを注入したが、経営状態は改善せず、11年にダフラン氏が国務相に就任した後、2度経営陣を刷新したが、負債体質は依然改善されていない。
 ムルパティ広報は経営状態について、3カ月前にできた新経営陣が設置した社内特別チームが経営再建策を実行していると説明した。
 ムルパティは1962年に創業したインドネシアで2番目の国営航空。交通の発展が遅れた東部地域を中心に空の便を提供してきた。しかし、2000年代に入り、航空業界の規制緩和に伴う新規参入で相対的な地位を低下させてきた。非効率な経営体質のほか、国務相が経営改革のために送り込んだ前社長が「6割の部署で汚職がある」と指摘したような腐敗も影を落としていたとみられる。(吉田拓史)

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