過去最高1万4720人 通貨危機前の水準に回復 企業増加が後押し 外務省12年統計 在留邦人

 外務省は21日、2012年10月1日時点の海外在留邦人統計を発表した。インドネシアの在留邦人数(日本国民で3カ月以上の長期滞在者と永住者の合計)は11年比2251人増で、1968年の統計開始以来、過去最高の1万4720人を記録。98年のアジア通貨危機や政変で減少後、2000年以降は約1万千人台を推移していたが、最近の堅調な経済成長を支えに新規進出企業が急増、追加投資も増大したことが邦人数を押し上げた。
 世界に滞在する在留邦人数は前年比6万7千人増の124万9577人。国別ではインドネシアは1万4720人で15位。このうち8割以上に当たる1万342人が民間企業関係者だった。
 在外公館別の日系企業数ではインドネシア大使館管轄地域内に1131社の会社が進出し、全体では9位。ジャカルタ・ジャパンクラブ(JJC)の会員企業数は今年7月時点で2011年8月から46社増え533社となった。
 長期滞在者数が大幅に伸び、前年比19%増の1万3792人だった。ジャカルタは前年比24%増の8659人。世界の都市別邦人数ではジャカルタが11年比4位上昇の23位(1300人増の8748人)になった。
 大使館の担当者は「今後も企業進出の増加で邦人数は増加していくだろう。在留届を大使館や在外公館事務所に提出していない邦人もいるため、届け出を呼び掛けていきたい」と話した。
 在留邦人の内訳は、インドネシア大使館管轄内で1万935人、デンパサール総領事館で2521人、スラバヤ総領事館で735人、メダン総領事館で310人、マカッサル駐在官事務所で219人。
■ASEANに12%
 在留邦人が最も多いのは米国(3.3%増・41万973人)で、中国(6%増・15万399人)、豪州(5.3%増・7万8664人)、英国(3.2%増・6万5070人)が続く。
 地域では北米が最多で全体の37%(47万2835人)を占めるが、最も大幅な伸びを見せたのはアジア地域で前年比9%増の36万2022人。このうちASEAN10カ国は15万179人で、全体の12%を占める。タイの5万5634人が7位でASEAN最多。上位15位以内にはシンガポール(11位・2万7525人)、マレーシア(12位・2万444人)、フィリピン(13位・1万7822人)でインドネシアを上回った。
 マレーシアの増加率は前年比96%で最も高く、カンボジアが同23%、ベトナム同20%、インドネシア同18%、タイ同11%、シンガポール同5%。長期滞在者数もカンボジアが前年比22%、ベトナム同20%、インドネシア同19%、ミャンマー同15%だった。
 統計は世界各地の在外公館事務所に在留届を提出した邦人数を基に算出した。(小塩航大)

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