【ジョコウィ州政1年】「生活向上」を実感 ジョコウィ熱は冷めず 構造問題対処アピール
昨年6月、ジョコウィ氏は選挙運動で南ジャカルタのカンプン内を、数百人の支持者を引き連れて歩いていた。1カ所のカンプンにかける時間は演説合わせて1時間半。炎天下で、四つのカンプンを回った。掲げたのは「教育・医療の無料化」「汚職無縁」「庶民との対話」。これまでにない指導者の登場でジャカルタ全体が熱気を帯びていた。
それから1年。「洪水対策・伝統市場の近代化・医療無料化」は市民の多くが挙げるジョコウィ氏の実績だ。商人のフィキさん(20)はこれまで病院は高すぎて行けなかったが、無料で医療を受けられるジャカルタ保健カード(KJS)を配布されてから健康診断を受けた。「今後は病気になっても安心だ。ジョコウィのおかげさ」と満足気だ。
ジョコウィ氏は無料で教育を受けられる教育カード(KJP)の配布も進めている。主婦のアスナさん(67)は「3カ月170万ルピアかかっていた孫の教育費が無料になった。制服も支給されるし家計は助かる」と語る。
西ジャワ州ボゴール生まれで、ジャカルタの住民登録証(KTP)を持たない移住者のリスマンさん(27)は直接恩恵は受けていないという。ただ「タナアバン前の露天商一掃で渋滞はほぼ無くなった」と劇的な変化に驚く。
警備員のカルソノさん(45)はジョコウィ氏の人気は庶民への近さにあると指摘。「ジョコウィはテレビ、新聞に出ない日はない。毎日会っているような気分になる。何に取り組んでいるか明快で、市民と意思疎通を図っている分、ファウジ・ボウォ(前知事)より社会性がある」と評価した。
ジョコウィ氏は医療・教育の無料化という誰もが「生活向上」を実感できる政策で前知事との違いをアピール。さらに洪水と渋滞という首都の構造的な2大問題に取り組む姿をメディアを通して、市民に見せ続けていることが「ジョコウィ熱」の冷めない理由と言えそうだ。
来年の大統領選への出馬が報じられているが、商人のウマンスカさん(59)は「州改革を途中で投げ出す」と反対だ。ただ「インドネシアのためには1日でも早くジョコウィが大統領になった方がいいのかもしれない」と複雑な心境を語った。(堀之内健史)
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