雨期控え洪水対策 ジョコウィ州政の試金石

 降水量が増加する雨期を前に、ジャカルタ特別州が洪水対策を進めている。今年初めに首都で深刻な洪水被害が頻発し、治水能力不足が露呈。治水事業は、知事就任から1年を迎え、次期大統領候補としても注目されるジョコウィ知事の行政能力を問う試金石となる。
 州政府は、総額5千億ルピアの予算を治水事業に投じ、▽貯水池や河川の整備・浚渫▽「浸透井戸」の設置▽住宅街を通る排水溝の清掃▽排水ポンプ設備の整備▽水門の活用▽タスクフォースの設置―などの対策を打ち出してきた。
 貯水池や河川・運河整備では、州内に12ある貯水池のうちプルイット貯水池やリアリオ貯水池で、周辺に建設された違法住居を撤去。住民を立ち退かせ、投げ込まれた家庭ごみなどで浅くなっていた貯水池を浚渫した。州内を流れるチリウン川など河川や運河も浚渫、拡幅を進めている。
 地下の地層に雨水を浸透させて排水する「浸透井戸」も設置。11月までに州内1900カ所以上で深さ60〜200メートルの井戸を設置する計画だが、これまで完了したのは20〜30%にとどまる。今後数年で、合計4千カ所の設置を目指すという。
 州公共事業局は排水溝に捨てられた家庭ごみも洪水の深刻化の一因とみており、住宅街を通る排水溝の清掃も続けている。
 河川や排水溝などで排水しきれなかった水をかき出す排水ポンプ設備も改修、増設する。現在設置されている500カ所のポンプのうち、故障している73カ所を修理し、数カ所を増設。水位を確認する監視カメラを設置し、州庁舎から一元管理できるようにする。
 排水ポンプ設備や浸透井戸などを視察したジョコウィ知事は「11月末には効果が現れることを期待している」と語る一方、「洪水が完全に防げるものだと思わないでもらいたい。(オランダの)ロッテルダムは200年間、洪水に苦しんだ」と話し、長期的な視点で対策を進めていく必要があると強調した。

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