多分野で協力強化 南シナ海問題言及せず イ中首脳会談


 ユドヨノ大統領は2日、中央ジャカルタの大統領宮殿(イスタナ)で中国の習近平国家主席と会談し、両国の協力関係を多岐にわたる分野で拡大していくことで一致した。「ASEAN(東南アジア諸国連合)重視」を掲げる習主席は3月の就任後、初めての東南アジア訪問。地域の大国インドネシアと工業団地開発など経済関係を深めることで、地域での影響力拡大を図る姿勢を見せている。
 会談後の共同記者会見でユドヨノ大統領は「二国間の戦略的で包括的なパートナーシップを強化することで合意した。習主席の下で二国間の協力を深めていくことができる」と述べた。貿易、産業、金融、インフラ整備、交通、教育、クリエイティブ産業、漁業、平和的な宇宙開発分野で協力を推進していく。ユドヨノ大統領は特に経済分野の連携促進を強調した。
 また2国間だけでなくASEANプラスや主要20カ国・地域(G20)、アジア太平洋経済協力会議(APEC)など多国間のさまざまな枠組みで協力していくことで一致。習主席は「国際的な課題に対処するため、これまで以上に2国間で連絡を取り、調整していく」と述べた。
 両国は、ジャワ島外で複数の石炭関連の工業団地を開発することでも合意。これにより中国企業の直接投資が大幅に増えるとみられており、トゥク・ファイザシャ大統領報道官は「5年以内に中国からの投資を国別で昨年の15位から5位以内に引き上げたい」と語った。
 両国の2009年の貿易額は266億ドル(約2兆6千億円)だったが12年には660億ドルまで急増。15年には800億ドルを目指している。 
 インドネシアにとって中国は最大の貿易相手国だが、中国企業のインドネシアへの直接投資は投資調整庁(BKPM)によると1億4100万ドル(約140億円)と外国投資全体の0.6%にすぎない。
 中国がフィリピンやベトナムと領有権を争う南シナ海問題についても議題に上るとみられていたが、会見での言及はなかった。経済面ではASEANに接近しているが領土問題には厳しい態度を示している。
 今回の訪問には、王毅外相のほか国家発展改革委員会(NDRC)の徐紹史主任や高虎城商務相など経済関係の閣僚級も同行。各分野での協力に向けた覚書などを締結した。
  習主席は3日、国会で2国間関係と中・ASEAN関係について演説する。その後マレーシアに移動し、ハリム国王、ナジブ首相と会談、7、8両日にはバリで開かれるAPEC首脳会議に出席する。(堀之内健史、写真も) 

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