最高裁判事選定で買収か 「国会議員が取引要求」 司法委委員内部告発

 判事の審査・監視機関の司法委員会が最高裁判事候補者を決めた2011年の選定作業で、現金を渡す見返りに特定の人物を候補者にするよう、国会議員が司法委に取り引きを持ちかけていたことが19日、司法委の内部告発で発覚した。司法委は提案を拒否し、その人物も候補者から外れた。内部告発後に裏取引の事実を公表した司法委によると、複数の政党関係者が関与していた疑いも浮上している。地元紙が報じた。
 最高裁判事の選任では、司法委が選定作業を経て候補者名簿を作成し、これを基に国会が3候補者につき1人の判事を選出する。ほかにも、憲法裁判事を選ぶなど国会の関与が強く、裁判官司の独立性が侵害される可能性があるとして、制度上の問題を指摘する声が上がっていた。
 内部告発したのはイマム・アンソリー委員。候補者選定に先立ち、昼食に招待した国会第3委員会(法律・地方自治・人権担当)所属の国会議員が、司法委委員7人全員にそれぞれ2億ルピア(177万円)を渡す代わりに、特定人物を候補者とするよう持ちかけたという。直後に司法委は候補者からその人物を除外するよう決めた。イマム委員はその人物や国会議員の氏名、所属政党などは公にしなかった。
 これを受け、司法委のエルマン・スパルマン委員長は20日、事実を認めた上で、イマム委員に取引を持ちかけたのは民主党所属議員だったと発表。さらに、委員長自身も、それぞれ別々の政党に所属する3議員が同じ人物を推薦し、贈賄をほのめかしたことも明らかにした。
 委員長はいずれの氏名も公表していないが、国会倫理委員会の求めがあれば、氏名を証言するとしている。
 18日には国会内のトイレにいた地元記者が、西カリマンタン州ポンティアナック高裁のスドラジャッド・ディムヤティ判事が国会第3委員会のバフルディン・ナシノリ議員(民族覚醒党=PKB)に封筒を手渡す場面を目撃。各メディアで報道されたことを受け、イマム委員は、過去の事案を公表したという。
 トイレでの疑惑についてバフルディン議員は、候補者選定の手続きに関するやり取りをしていただけとして、疑惑を否定している。
 司法委は今週半ばにもこの記者とディムヤティ判事、バフルディン議員から事情を詳しく聴く予定という。
 汚職撲滅委員会(KPK)によると、KPKは金品の授受が完了した汚職事件のみ捜査対象とするため、今回の疑惑は警察か検察庁が担当するとの見通しを示している。(道下健弘)

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