公衆衛生など課題残る 極度の貧困削減で進展 MDGs報告書で指摘

 2015年までの達成を目指す開発目標を掲げた国連のミレニアム開発目標(MDGs)達成に向けた、各国の取り組みを支援する国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)、国連開発計画(UNDP)、アジア開発銀行(ADB)が20日、アジア太平洋地域の達成状況を調査した12〜13年の年次報告書を発表した。インドネシアは極度の貧困の削減などで大きく進歩したが、公衆衛生などの分野で期限内の達成が困難とみられることが分かった。
 報告書は、現時点の達成状況を調査し、15年の達成期限までに優先して取り組む分野を示すことが狙い。アジア太平洋地域で同開発目標の達成に大きく近づいたと全体的な評価をした上で、飢餓の撲滅や公衆衛生の改善などが遅れているとした。
 報告書によると、インドネシアは1日1ドル25セント(約124円)以下の極度の貧困で暮らす人口の削減や、初等教育などの分野ですでに目標を達成した。しかし、乳幼児・妊産婦死亡率の削減などの達成は15年以降になるとみられている。
 さらに、エイズウイルス(HIV)感染者数の増加や、森林面積の減少など、状況が悪化した分野を指摘。国連エイズ合同計画(UNAIDS)は11年時点でインドネシアに38万人の感染者がおり、死亡者は1万5千人に上るとしている。
 アンジェラ・カーニー・ユニセフ(国連児童基金)インドネシア事務所代表は「インドネシアでは住居内に適切なトイレがなく、屋外で用を足す人の数が約6300万人に達し、世界で2番目に多い」と指摘。開発分野や地域によって大きな格差があるとした。

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