よく褒め、よく叱ろう 発達障害の子育て講演会 小児精神科医の広瀬医師
ジャカルタ・ジャパンクラブ(JJC)と海外邦人医療基金(JOMF)は17日、バンテン州南タンゲラン市のジャカルタ日本人学校(JJS)に横須賀市療育相談センターの広瀬宏之所長を招き、発達障害と子育てについての講演会を開いた。保護者ら52人を前に、広瀬さんは発達障害への正しい理解や、適切な褒め方、叱り方の重要性を語った。
広瀬さんは、じゃかるた新聞の火曜日7面に隔週で「広瀬先生の子育て相談」を執筆している小児精神・神経科医。
講演では得手や不得手は誰にでもあるとした上で、とりわけ発達の偏りが大きく、日常生活に支障を来す場合を発達障害と考えると説明。発達障害には、精神発達遅滞(MR)や運動発達遅滞、自閉症スペクトラム(ASD)、注意欠陥・多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)がある。
遺伝子異常によって脳の発達が偏ったり遅れたりするのが原因で、育て方とは直接関係がないとされる。広瀬さんによると人口の約10%が発達障害を持っている可能性があり、我が子だけでなく、同僚や隣人として発達障害を持つ人と接する機会も多い。東京大学医学部の学生の8割が発達障害を持っているとの説もあり、発達障害を持った子どもが一芸に秀でることも少なくない。
広瀬さんは発達障害を持つ子どもも、大人の顔色や周囲の雰囲気を読み取ろうと努力していると話し、発達障害を持つ子どもと接する上で、周囲の大人の理解が大切だと語った。特に具体的な指示や、達成可能な目標設定を与えることが重要といい、「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、褒めてやらねば、人は動かじ」と旧帝国海軍大将・山本五十六の言葉を引きながら心得を説いた。
適切な褒め方、叱り方も大切だ。何に対して褒めているのかを具体的に示し、行動の途中でも褒めることが効果的と強調。例えば、宿題を始めた子どもを労って褒めることが重要で、「やればできるんだったら、はじめからやりなさい」などと非難を交えると褒めた効果が相殺されてしまうと注意した。
叱る場合には短く、簡潔な言葉を選ぶことが大切で、内容を言い換えずに「壊れたレコードのように」繰り返すと良いと説明。スーパーマーケットなどで子どもが駄々をこねた場合には要求を無視し、その後に「よく我慢したね」などと声をかけて親子関係を修復することも忘れてはいけないと話した。(田村隼哉、写真も)