13歳運転で6人事故死 ロックスターの末息子 ジャゴラウィ高速道
8日午前1時45分、東ジャカルタのジャゴラウィ高速道ジャカルタ方面のパサール・ルボ料金所付近で、インドネシアのトップミュージシャンの1人、アフマッド・ダニ氏の3男(13)の運転する乗用車がガードレールを突き破り、ボゴール方面の対向車線に突入し、乗用車2台に追突、6人が死亡し、11人が重軽傷を負った。豪奢な生活を送るロックスターが中学生の息子に高級車を買い与え、無謀運転で死亡事故を起こしたことに非難が噴出している。
地元メディアによると、アフマッド・アブドゥル・コディル・ジャエラニさん(通称ドゥル)さんは自分で乗用車を運転し、西ジャワ州ボゴールの恋人宅からジャカルタの自宅へ帰宅する途中だった。ドゥルさんは足を骨折するなどし、南ジャカルタのポンドックインダ病院に入院したが、意識ははっきりとしているという。
道路交通法では17歳未満の運転を禁止している。警視庁はドゥルさんが未成年の無免許運転だったことを重視し、過失致死傷の容疑者に断定。児童保護法や児童裁判法で刑事責任を追及できる12〜18歳であることから、容体の回復を待って捜査を進める方針。ドゥルさんの血液検査と尿検査で、麻薬使用や飲酒は確認されなかった。
ドゥルさんは父の支援を受け、3兄弟でバンドデビュー。音楽活動に取り組んでいた。ダニ氏はドゥルさんがボゴールへ自家用車で出掛けていたことを知らず、運転の許可を与えていなかったという。
しかし、これまでダニ氏は「息子たちは車が好きだから」と、未成年の3人の息子にそれぞれ高級車を買い与えていた。事故車はドゥルさんの3台目の車だった。警視庁は保護者のダニ氏の監督責任について取り調べる方針。
ダニ氏は9日、北ジャカルタの遺族の自宅へ弔問し、息子の起こした事故について謝罪した。亡くなった男性の3人の子どもの学費を負担すると明らかにした。
1月には、ハッタ・ラジャサ経済担当調整相の次男ムハンマド・ラシッド・アムルラ氏(22)が死亡事故を起こし、禁錮5月、執行猶予6月の判決が言い渡され、有力者の息子に対する不公平な罰則と批判が出た。
■未成年の運転問題視
ロックミュージシャンのアフマッド・ダニ氏の末息子の交通事故を受け、オートバイで登校する中高生など、未成年者の無免許運転を問題視する声が広がっている。
インドネシア大学のデフィ・ラフマワティ教授は「今回の事故は富裕層が子どもに車やオートバイを買い与える傾向から、起きるべくして起きた事故」と指摘。また公共バスの運転手も未成年が多く、首都郊外の西ジャワ州デポックやブカシ、ボゴール、バンドンなどでは運転手全体の約40%が未成年で、速度違反など交通違反の取り締まりも不十分との見方を示した。
国立イスラム大学の児童精神科のシャリフ・ヒダヤトゥラ・リズキー・ムルヤ・ラフマン氏は「子どもに対する保護者の管理が行き届いてない」と批判。「今回の事故を教訓に、子どもたちの無免許運転を撲滅すべきだ」と訴えた。
地元紙コンパスやレプブリカは、学校の制服を着た中学生たちがヘルメットも被らずにオートバイに乗っている写真を掲載し、未成年者の無謀運転を警告している。