中銀が緊急利上げ 0.5%上昇の7%に ルピア防衛を最優先
中銀は29日、臨時の金融政策会合を開き、国内ルピア金利の指標となる政策金利(中銀レート)を6.5%から0.5%上昇の7.0%に引き上げることを決めた。金融引き締めによる景気後退のリスクより、対ドルで急落するルピアの防衛を優先した形。日本銀行との通貨スワップ協定の延長も発表し、ルピア暴落阻止への対応策を強く打ち出したが、市場の信頼を回復し、ルピア相場安定につながるかは不透明だ。
政策会合では、翌日物銀行間取引金利(FASBI)を4.75%から0.5%上昇の5.25%と引き上げ、市中銀行からのルピア預金回収策も強化することも決定。中銀が市中銀行から借り入れする際の利率である貸付ファシリティー金利も0.25%上昇の7.00%に引き上げ、金融引き締めを強化する。さらに、中銀証券の最低保有期間を短縮し、ルピアの流動性も高める。
日本銀行との間での通貨スワップ協定延長は31日に発効。同協定は外貨準備を使って短期的な外貨資金の融通を行うもので、両中銀は互いの外貨準備からドルの調達が可能となる。
スワップ協定更新の公表については予想外との反応が多い。インドネシア中銀が最も介入を強めた6月に外貨準備高は70億ドル減少しており、今回の120億ドルはその2倍弱の額。外貨の調達手段を確保することで、ルピア大暴落という最悪の事態を抑止するための対応強化の姿勢を示した。
これに対しては「調達力を市場に打ち出したことは好材料だが、外国からのドル調達を視野に入れていることも明らかになり、危機感を露にしたともとれる」(市場関係者)として、「諸刃の剣」との見方が上がっている。
日本とインドネシアは、アジア通貨危機の教訓から生まれた、東アジア地域における二国間の通貨スワップ「チェンマイ・イニシアティブ」の枠組み内で、03年に二国間スワップ協定を締結。09年4月に引き出し可能な上限を120億ドルへ増額していた。(赤井俊文)