石油会社から収賄か SKKミガス長官を逮捕

 汚職撲滅委員会(KPK)は13日夜、シンガポール系石油会社から多額の現金を受け取ったとする収賄容疑で、石油・ガス上流事業監督機関「SKKミガス」のルディ・ルビアンディニ長官(前エネルギー鉱物資源副大臣)を逮捕した。見返りに事業の便宜供与を求めたとみて、同会社幹部の男と仲介役の男も拘束し、事情を聴いている。14日、KPKが発表した。
 KPKによると、長官は13日午後10時ごろ、南ジャカルタ・クバヨランバルの自宅でゴルフのコーチの男を通じ、コーネル石油の幹部から現金を受け取ったとされる。同社は原油貿易などに関わっていたとみられる。
 KPK捜査員が長官自宅から出てきたコーチの身柄を拘束した後、長官自宅に踏み込み、コーチが渡したとみられる現金40万ドルと12万シンガポールドルを発見、押収した。現金は会社幹部が同日午後4時ごろ、南ジャカルタの食堂でゴルフコーチの男に預けていたという。コーチ自宅でも現金20万ドルが見つかった。
 同社は国内で採掘はしていない。KPKは同社が具体的にどういう便宜供与を求めたのかなど、詳しい調べを進めている。
 石油ガスの生産などの監督機関としては、石油ガス上流監督機関「BPミガス」があったが、憲法裁が昨年11月、同機関設置の法的根拠になっていた石油・ガス法の一部を違憲としたため、解体された。締結済みの契約を遂行するための暫定措置として、鉱物資源エネルギー省所管のSKKミガスに実務機能が移った。SKKミガスへの権限委譲に伴い今年1月、ユドヨノ大統領がルディ長官を任命した。
 逮捕を受け、SKKミガスを管轄するジェロ・ワチック・エネルギー鉱物資源相はルディ長官を停職とし、ヨハネス・ウィジョナルコ副長官を長官代行とすることを決めた。SKKミガスの広報担当者は「現時点では重大な意思決定を必要とする懸案はなく、長官ポストが空席となっても、業務の継続に支障はない」としている。
 容疑が事実であれば、民間投資の誘致を目指しながらも、恣意的な法解釈など不透明な規制行政が指摘されていたインドネシアの資源開発で、追い打ちをかける打撃になり得る。ハティブ・バスリ蔵相はロイター通信に「投資家にとって悪い兆候だ」と認めた。
 インドネシアでは経済発展に伴い石油の国内需要が急増する反面、開発計画の遅れや設備の不具合などで原油生産量は年々減少。04年に輸入国に転じ、08年には石油輸出国機構(OPEC)から脱退した。(道下健弘、写真も)

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