副業で荒稼ぎ 警察官送 酒、石油、違法木材売る

 パプア警察はこのほど、下級警察官ながら1兆5千億ルピア(約150億円)の預金を持っていたラボラ・シトルス容疑者を、森林法、石油ガス法違反、資金洗浄の疑いでパプア高検に書類送検した。警察は関係者72人を取り調べ、同容疑者の副業の一部が明るみに出たが、メディアで取りざたされた地元警察ぐるみの不正事業への関与疑惑は不透明さが残り、身内に捜査の手を緩めているとの観測も浮き上がる。
 資金洗浄捜査機関の金融取引報告分析センター(PPATK)によると、ラボラ容疑者は60口座を持ち、2007〜12年の5年で預金残高が9千億ルピアから1兆5千億ルピアまで増えた。禁じられている副業の木材、燃料の違法取引でもうけた疑いがある。ラボラ容疑者の階級の給与は月800万ルピア程度だが、手広く事業を手がけていた容疑者は、給与を受け取らなくなっていたとも言われる。
 警察によると、ラボラ容疑者は国営石油・ガスのプルタミナ傘下に入るスノアリ・ウィジャヤ社を保有。同社は補助金付き燃料の供給を毎年300トン受け、補助金燃料の使用を禁止されている漁師や工場に対し、通常より千〜2千ルピア増しで売っていたとみられる。同社はパプア各地に拠点を広げ、輸送用の船も所有。大がかりな事業を展開していた。5月の逮捕時に警察が押収した燃料は千トンに上る。
 さらに違法木材の販売疑惑をめぐっては、ロトゥア社を基点に地元自治体が出す伐採許可を持たない業者が、違法伐採した木材を購入し、販売していた疑いもある。
 ラボラ容疑者はこの2社は妻が10年前に買ったものと供述。取締役会、理事会に家族を配置し、子ども2人が一部株式を保有する「ファミリービジネス」だったとみられる。
 一部報道によると、容疑者は1983年に船を使った必需品の流通業を始め、その後県警で採用された。90年代に警察官の傍ら、北スラウェシ州マナドからチャップ・ティクスという地酒を流通させる事業を始めた。2000年代には事業が忙しくなり、警察署に出勤しなくなり06年には辞表を提出したが、受理されなかったという。同容疑者はキャバレーカラオケも営業していた。
 インドネシアの法律は警察官の副業を禁じている。捜査はパプア警察を国家警察が支援する形で進められた。地元警察は2社の取締役2人を容疑者に断定したが、取りざたされる警察官の関与は否定してきた。
 地元警察の高官がラボラ容疑者の口座を「現金自動預払機(ATM)代わり」にしていたとの報道もある。ラボラ容疑者が口座を60に分けていたため、資金洗浄も疑われたが、国家警察は捜査の結果、その徴候はなかったとした。(吉田拓史)

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