高インフレで景気減速も レバラン前で、2005年以来の水準 7月は前年比8.61%
中央統計局(BPS)が1日に発表した消費者物価指数(CPI)統計によると、2013年7月のインフレ率は前月比3.29%で、前年同月比では8.61%と中銀の事前予想の8.18%を上回る水準となった。前月比では05年10月(8.70%)以来の高インフレ。6月下旬に補助金付き燃料価格の引き上げに踏み切った結果が大幅なインフレ率上昇となったことで、景気減速への懸念が強まっている。
BPSによると、今回の高インフレ率は補助金付き燃料値上げで輸送費が上昇したことと、ラマダン(断食月)で牛肉など食料品の消費が増大したことが主因。レバラン(断食月明け大祭)を直前に控え、株式市場など国内経済に大きな変化は見られないながらも「中長期的には輸送費の上昇分の転嫁などにより物価が上昇し、インフレが続く大きな要因となる」(市場関係者)との観測が強まっている。
先月25日のインフレ対策を話し合う政府・中銀会合では、アグス・マルトワルドヨ中銀総裁が前年同月比で8%を超える高インフレ率が続くとの見解を示す一方、ハティブ・バスリ蔵相は9月以降に物価上昇は沈静化すると強調。先月29日には来年の経済成長率目標を6.4〜6.9%とした。ただ、政府の強気の姿勢とは裏腹に、今回予想を超える高インフレ率となったことで、早くも達成には懐疑的な見方が広まっている。
1日の金融市場は、市場関係者の間で主流となっていた前年同月比8%前後という予想を大幅に上回るインフレ率が公表されたが、大きな動きはなかった。
インドネシアみずほ銀行資金為替課の小泉聡氏によると、レバラン前で市場の売り買いが本格化しなかったことや、30、31日に開かれた米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策決定会合である連邦公開市場委員会(FOMC)を踏まえ、金融緩和政策の早期縮小観測が弱まったことなどが原因という。
今月15日に中銀の定例金融会合が開かれるため、国内外の投資家は中銀が3カ月連続の利上げに踏み切るかどうかを注視している。
■運輸で上昇目立つ
通年(1〜7月)のインフレ率は前年同期比6.75%。7月のコア・インフレ(主要品目の物価上昇)率は前月比0.99%、前年同月比4.44%で、1〜7月は2.32%だった。
7月の前年同月比の部門別では、運輸・通信・金融サービスが15.25%、基本食糧が14.81%、加工食料品・飲料・タバコが6.49%、住宅・水道・電力・ガス・燃料が4.84%、教育・娯楽・スポーツが4.47%、保健が3.23%、衣類がマイナス0.41%だった。(赤井俊文)