米英諜報機関が通信傍受 イ情報、豪州に流出か スノーデン氏暴露 豪紙報道で発覚 英G20
2009年にロンドンであった主要20カ国・地域(G20)首脳会議などで、英政府通信本部(GCHQ)が各国高官の通信を傍受していた問題で、インドネシアからの派遣団のメールなども傍受され、さらにその情報が英米の諜報機関経由で豪州に渡っていた疑いが、豪紙の報道で発覚した。事実との見方を強めたインドネシア外務省は遺憾の意を表明し、英国に説明を求めている。
豪日刊紙シドニー・モーニング・ヘラルドは26日、「米英からの情報を含む、素晴らしい情報の支援を受けた」とする政府関係者の証言を報道。別の外交筋は、ラッド豪首相=当時、先月から再び首相=が前年に立候補を表明し、昨年10月の国連総会で実現した国連安全保障理事会非常任理事国入りについて「米国の情報収集能力による支援がなければ、議席を得ることはできなかっただろう」と指摘している。
ラッド首相は当時、ユドヨノ大統領、インドのモハンマン・シン首相、中国の胡錦濤国家主席=当時=らアジア太平洋地域の首脳の動向について、情報収集に力を入れていたという。
G20首脳会議にはユドヨノ大統領も出席していた。マルティ・ナタレガワ外相は26日、「国際関係における重大な倫理違反だ。真相が知らされることを願う」と強調。英国政府からの公式な説明を待って、対応を検討すると説明した。
一方、国会では再発防止のために、徹底した調査を求める声が高まっている。インドネシアは10月にバリ島で開く環太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の議長国になっており、国家情報庁(BIN)のマルシアノ・ノルマン長官は29日、地元紙に「バリでのAPEC中に、同様の事態が起きないよう保証しなければならない」と話した。
ロンドンでの通信傍受は、米国家安全保障局(NSA)によるインターネット上での情報収集を内部告発した元米中央情報局(CIA)エドワード・スノーデン氏が英ガーディアン紙に暴露した資料で明らかになった。(道下健弘)