1万1701人で3%増 インドネシアの在留邦人 昨年10月調査 経済好調で増加傾向
日本の外務省はこのほど、「海外在留邦人数調査」の結果を発表、昨年十月一日時点でのインドネシアの在留邦人総数(日本国民で三カ月以上の長期滞在者と永住者の合計)は前年同期比三・八九%増の一万千七百一人となった。永住者を除いた長期滞在者数は同三・三六%増の一万八百五十六人、ジャカルタ特別州の長期滞在者数は同二・四七%増の六千三百九人だった。経済の好調が続き、新規の企業進出が相次ぐ中、在留邦人数は今後、さらに増えていくことになりそうだ。
管轄別では、ジャカルタ総領事館(管轄区域・ジャカルタ特別州、西ジャワ州、バンテン州、中部ジャワ州、ジョクジャカルタ特別州、中部カリマンタン州、西カリマンタン州、南スマトラ州、バンカ・ブリトゥン州、ブンクル州、ランプン州)が同三・六%増の八千百二十二人。
スラバヤ総領事館(東ジャワ州、東カリマンタン州、南カリマンタン州)が同一二・〇%増の七百六十人、デンパサール総領事館(バリ州、西ヌサトゥンガラ州、東ヌサトゥンガラ州)が同六・一%増の二千二百二十五人。
メダン総領事館(アチェ州、北スマトラ州、西スマトラ州、ジャンビ州、リアウ州、リアウ諸島州)が同四・五%減の三百六人、在マカッサル出張駐在官事務所(北スラウェシ州、ゴロンタロ州、中部スラウェシ州、東南スラウェシ州、南スラウェシ州、西スラウェシ州、マルク州、北マルク州、パプア州、西パプア州)は同一二・〇%減の二百八十八人となった。
インドネシアの在留邦人数は、通貨危機や五月暴動があった一九九八年を境に、過去最大となった同年の一万四千百十二人から九九年には一万千七百六十六人、ジャカルタでは九千百三十六人から七千四百七人へ大幅に減少。二〇〇〇年以降は一万一千人台、ジャカルタは六千人台で推移している。
世界全体の在留邦人総数は前年比一・〇二%増の百十四万三千三百五十七人で過去最高を更新。地域別では、アジア地域が最多で、前年比三・四%増と伸びも最も大きかった。
国別では米国の三十八万八千四百五十七人が最も多く、中国の十三万千五百三十四人、豪州の七万八百五十六人、英国の六万二千百二十六人が続いた。
■背景に経済成長
ジャカルタ・ジャパンクラブ(JJC)法人部会の会員企業数も増加が続いている。一九七二年の七十三社から徐々に増え続け、現在は過去最高の四百六十二社(十月二十七日時点)。前年同時期からの一年で三十社増加。二〇〇五?一〇年の増加企業数の二十六社に比べ、非常に速いペースで増加を続けている。
ジャカルタ郊外で工業団地「グリーンランド・インターナショナル・インダストリアル・センター(GIIC)」を管理・運営するプラデルタ・レスタリ社の余根田紳次社長によると、同工業団地では二〇一〇年から現在まで、四輪の部品メーカーを中心とする日系企業二十社に対し、工業用地を販売した。
インド大成インダ・デベロップメント社の小林芳治所長は、日本の内需の落ち込みが日系企業の海外進出を一層促進していると指摘。タイ洪水の影響でインドネシアへの相対的な注目度が一層高まる中、新規入居企業からは「(工業団地の)海抜は何メートルか」などと問い合わせも上がっているという。小林所長は「とにかく日本企業が元気になってほしい。われわれはその応援をする」と話した。
日系企業のインドネシア進出について、日本貿易振興機構(ジェトロ)ジャカルタ事務所の鎌田慶昭・経済連携協定(EPA)貿易・投資アドバイザーは「担当者一人で一日に約百件の問い合わせを受けている。工業団地などと連絡を密にし、常に空き物件があるような状況を心掛けている」と話した。
■日本人学校は急増
企業進出の増加を受け、ジャカルタ日本人学校(JJS)でも児童・生徒数が急増している。
小学部・中学部の児童・生徒数は今年四月時点で、前年同期比百十五人増の八百一人。二学期が始まる九月には、途中入学者が加わり、四月から一〇%近い増加となる八百七十三人となった。
JJS小学部の古野祐一教頭は「増加の伸びに驚いている。このペースでいけば、来年の新学期には約一千人になる」と見通しを示した。JJSの収容可能児童・生徒数は約千二百人。アジア通貨危機の直前である一九九七年四月には過去最高となる千百九十三人まで増加した。
現在、JJSは四クラス構成の小学部一年、二年を除き、各学年が三クラスだが、来年は一、二年以外も四クラスに拡大する方針だ。