モナスに出張両替所 レバランのお年玉用 12銀行がサービス開始
中央ジャカルタの独立記念塔(モナス)広場の駐車場が両替所に一変した。レバラン(断食月明け大祭)前の来月2日まで、12銀行がATMを積んだバスを設置し、両替の出張サービスを実施。故郷で親族が集まる際、子どもなどに配るお年玉用にと、小額紙幣を求める市民が列をなしている。
10日に数行が始めた出張サービスは、18日、計12行が出そろった。駐車場には両替カウンターやATMを車載したバスがずらりと並び、その回りを取り囲む大型テントは利用客で混雑していた。
バス内の係員が一人ずつ呼び出し、両替するため、待ち時間は15分以上になる。「あなた割り込みしたでしょ。後ろに並びなさいよ」と女性の怒鳴り声が響く。談笑しながら順番を待つ人々の笑い声も聞こえてくる。
西ジャカルタ・クマンギサンに住むウルウィンさん(30)が用意したのは350万ルピア。これを千ルピア札千枚、2千ルピア札千枚、5千ルピア札100枚に両替した。「娘や親戚、近所の子どもたちなどに配るよ」と一緒に連れてきた娘の顔を見ながら答えた。
中銀のアシスタント・ディレクター、ファイサル・ラクサマナさん(51)は「毎年この時期に両替サービスを行っている。1日に500人以上が利用し、ラマダン期間中は1人当たり最大370万ルピアまで両替できる」と説明した。テントには上限額以上を両替するため、何度も列に並んでいる利用客もいた。
インドネシアにはレバランを祝うときに親族や近隣の住民らがあいさつに訪れ、日本のお年玉のような感覚でお金を配る習慣がある。またムスリムの義務の5行の一つ、喜捨(ザカート)として、自身の資産を貧困層に分け与え、扶助することも盛んに行われ、レバラン当日の早朝に現金や2、3キロのコメなどを配る。
08年9月には、東ジャワ州パスルアンの実業家が自宅前で喜捨として現金を配った際、数千人の市民が殺到。将棋倒しになり女性や子ども21人が圧死する事件が起きた。(山本康行、写真も)