メダン刑務所で暴動 テロ犯ら受刑者176人逃亡 電力水供給 停止に怒る
11日午後5時半ごろ、北スマトラ州メダンのタンジュン・グスタ刑務所で、電気と水の供給が止まったことに受刑者が怒り、建物に放火するなど暴徒化し、受刑者3人、刑務官2人の5人が死亡した。収容者2600人のうち240人が脱走し、警察はメダン周辺の大通りなどで検問を強化。12日夕までにうち61人を逮捕したが、テロ犯4人を含む176人が依然逃亡している。
現地からの報道によると、タンジュン・グスタ刑務所では11日午前5時ごろから停電し、水の供給も止まっていた。これに抗議した受刑者はガスボンベなどを使い、刑務所の事務所や収容棟に火を付けたとみられる。数カ所でガスが爆発する音が鳴り響き、高さ約10メートルの火柱が建物を包み込んだ。現場に急派された警察・国軍部隊、消防隊ら数百人が数時間後に消火、暴動を鎮圧した。
同刑務所に収容されている受刑者は麻薬犯が多く、麻薬密売69人、麻薬使用1700人。テロ犯は22人でうち15人が脱走したが、12日夕までに11人が逮捕された。警察は、10年、アチェ山間部で軍事訓練を実施した過激派組織の主要メンバーらが脱走したとして行方を追っている。
ジョコ・スヤント政治・法務・治安担当調整相は12日、タンジュン・グスタ刑務所は定員1054人の約2倍半の2600人を収容していたと指摘。停電で水道用ポンプの電源が付かず、水が出なくなり、受刑者が反発したと説明した。
アミル・シャムスディン法務人権相は同刑務所を視察し、受刑者代表7人と面会。「暴動は計画的なものではなく、電力と水の供給停止が原因」との見解を示した。
政府は11年、汚職やテロ、森林伐採、人権侵害、麻薬、人身売買の受刑者に対する恩赦付与を厳格化する政令を発令しており、受刑者代表は法改定を訴えた。
デニー・インドラヤナ法務人権副大臣は、刑務所の電力や水道設備が不足している問題について「自家発電機100台を調達し、停電に備える」と説明。他の刑務所でも同様の事件が起きる可能性があり、対策を練っていくとした。
昨年2月、バリ州クタのクロボカン刑務所では2日間にわたり、受刑者が暴徒化し、刑務所を占拠。治安部隊がゴム弾や水圧銃などを使用して鎮圧する事件があった。定員300人の5倍の1500人を収容し、外国人受刑者も約60人服役していた。暴動の発端は受刑者同士のけんかだった。