自己修練始まる ラマダン入り
ラマダン(断食月)初日の10日夕、インドネシアの約2億人のムスリムは最初の断食を終え、神に感謝の言葉を捧げながら食事をとった。街中は閑散とし、ラマダン中、企業や公的機関は退社時間を早めるなどして断食中のムスリムに配慮している。
昼下がりのジャカルタ中心部は静けさが漂っていた。飲食物を売るカキリマ(移動式屋台)の姿はなく、目抜き通りのタムリン通りの歩道が広く感じる。マクドナルドやスターバックス、バーガーキングなどの飲食店は、店内が見えないようにカーテンで覆っていた。
タムリン通りのベンチで姉と待ち合わせをしていた会社員のワルティさん(35)は「毎年断食しているから平気」と話す。9日夜、家族ら7人でタラウェ(集団礼拝)をした。断食前の早朝の食事サフールでは、白米とスムール(肉とジャガイモが入ったスープ)を食べたという。
ショッピングモールのプラザ・インドネシアでも外から見える飲食店はカーテンやブラインドを下ろしていたが、地下にある飲食店は通常通り。プアサへの配慮はされていないが、午後3時ごろは閑散としていた。
カフェではコーヒーを飲み、たばこを吸っていた会社経営アルジャディさん(61)が断食中の部下のムニェールさん(32)と話し込んでいた。「ちょっと体調が悪くて断食していない」とアルジャディさん。上司を前にムニェールさんは「もう頭がふらふらで、眠い。これもまた心の修行の一つです」と話していた。(山本康行)