警察攻撃 呼び掛け 投稿動画で過激派指導者 撮影はポソ山間部か
中部スラウェシ州ポソ県を拠点に暗躍しているとされるイスラム過激派指導者のサントソ容疑者(反テロ法違反の疑いで指名手配)とみられる映像が7日、動画共有サイトのユーチューブに投稿されていたことが分かり、国家警察は10日、本人と確認したと明らかにした。動画で同容疑者は過激派掃討を展開する国家警察対テロ特殊部隊(デンスス88)を名指しし、警察への攻撃を国内の過激派に呼び掛けていた。
動画は「ポソのムスリムへの言葉」との題で6分2秒。森林地帯とみられる場所で、サントソ容疑者は右手に拳銃を構え「兄弟よ、デンスス88との戦いを知っている。誇りに思う」と警察を狙う過激派の活動を賞賛した。「彼らは本当の敵で、悪魔だ。迷う必要はない」などと警察への敵意を露わにした。同容疑者の両隣に覆面姿の2人が立ち、銃を構えていた。
投稿者の名前は「アル・ヒマ」で、これまでに4千回近く再生されたが、9日時点ですでに閲覧できなくなった。国家警察は対テロ特殊部隊に協力を要請、撮影場所の特定を急いでいる。ボイ・ラフリ・アマル報道局長は10日、「テロは許されない。サントソ容疑者は自首すべきだ」と話した。
サントソ容疑者は以前、イスラム強硬派指導者のアブ・バカル・バアシル受刑者が主宰するイスラム強硬派団体「ジャマア・アンシャルト・タウヒッド(JAT)」に所属していた。脱退後、分派「東部インドネシア・ムジャヒディン」を作ったとされる。
2011年に起きた中部スラウェシ州パル市での警察官3人殺害などに関わったとされ、警察が最重要人物として追っている。国家テロ対策委員会は、同容疑者が密林地帯があるポソに国内の過激派を集め、軍事的演習を行っているとみている。
JATらの過激派メンバーは10年にも投稿動画を通じ、アチェ山間部の軍事訓練の様子やジハード(聖戦)を呼びかける演説を公開。警察はその後、数カ月にわたる掃討作戦で指導者ら数十人を摘発した。(上松亮介)