デポックで爆弾爆発 ソロ過激派の一味か 民家で爆発物調合中

 8日午後8時45分ごろ、西ジャワ州デポック市ベジ地区ヌサンタラ通りの商店街にあるテロ組織のアジトとして使用されていた民家で、製造中の爆弾が爆発物の調合ミスで爆発、中にいた男1人が重傷、2人が軽傷を負った。国家警察は、テロ組織が爆発物や起爆装置、銃器などを持ち込み、爆弾を造っていたと指摘。先月以降、警察銃撃が続発している中部ジャワ州ソロの事件で摘発した一味と関係があるとみて捜査を進めている。(配島克彦、写真も)

 爆発で1人は体の7割近くのやけどを負い、病院に搬送された。警察は身元確認を急いでいる。ムルヤディ・トフィック・ヒダヤット(32)、フェブリ・バグス・クンチョロ(20)両容疑者は軽傷。民家の屋根は爆発で吹き飛び、壁やガラス窓も大破した。隣接する民家などに大きな被害はなかった。
 5日、西ジャカルタ・タンボラの民家で爆弾を製造していたムハンマド・トリック容疑者(30)は9日夜、警察に自首した。警察は同容疑者と今回の爆発の関連や、家を借りていたユスフ・リザルディ容疑者や、爆発前に出入りしていたとみられる2人の行方を追っている。
 爆発した民家の軒先には、「ポンドック・ビダラ孤児財団」と書かれた垂れ幕が掲げられていた。約2カ月前に入居したばかりで、これまでに活動していた様子はなく、事務所に見せかけてテロ組織の拠点にしていたとみられる。
 この地域は、ジャカルタ南郊の交通の拠点である国鉄デポック・バル駅から徒歩で10分ほどの距離にあり、ジャカルタやボゴールなどに通勤する中間層のベッドタウンの一角。
 爆発現場裏の住宅地に住むスカルジョさん(44)によると、爆発当時、「ズドーン」という爆音とともに強い揺れが感じられた。「地震だ」「ガス爆発だ」と叫ぶ声が聞こえ、外に飛び出す人が続出した。「この辺でオートバイ盗難などの犯罪はあったが、まさか爆弾が造られていたなんて」と驚く。
 この民家は交通量が多く、飲食店やコンビニなどが並ぶ通りに面しており、爆発があった土曜の夜も、周りにはたくさんの若者がたむろしていたという。スカルジョさんは「私も2000年に引っ越してきた流入者の1人。貸家ばかりになり、出入りが激しい地域では住民の管理も難しくなっているのでは」と話した。
 デポックでは5日、住宅地「アニュリル2」の民家で、テロ組織の一味とみられるフィルマン容疑者(20)が逮捕されたばかり。
 爆発事件を受け、デポックのイドリス・アブドゥル・ショマッド副市長は、レバラン(断食明け大祭)後、新たに7千人が同市に流入したとの推計を発表し、転入者の住民登録の確認作業を早急に進める方針を示した。
■手製銃器が酷似
 国家警察のボイ・ラフリ・アマル報道局長は9日の記者会見で、民家から手りゅう弾3個、ライフル2丁、拳銃1丁、9ボルトのバッテリー5個、コード、計12個の電気系統などの起爆装置のほか、黒い粉末、硫黄などの化学物質や、すでにそれらを詰め込んだポリ塩化ビニール製パイプ6本を押収したと明らかにした。
 爆弾が爆発したことについて「すでに内偵を進めていた。これらの物質は爆発する24時間以内に民家へ持ち込まれたもの。調合に失敗し、爆弾が爆発した」と釈明し、テロ組織の動向は把握していると強調した。
 押収した銃器の中にはソロで摘発された警察銃撃事件の犯人グループが製造していた拳銃と酷似しているものがあり、他地域の組織との関係についてさらに捜査を進める方針を示した。

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