1万人超が健康被害 煙霧で急性呼吸器感染症 リアウ州、拡大は必至
野焼きが延焼するなどして、深刻な煙霧の発生源になったスマトラ島リアウ州で、少なくとも1万人で肺や気道など呼吸器の病気が確認されたことが1日、州環境保健局の調べで分かった。まだ集計ができていない地域もあり、健康被害がさらに拡大することが確実視されている。
州内12県のうち8県からの報告をまとめ、1万382人の急性呼吸器感染症患者を確認した。煙自体や飛散した灰を吸い込んだことが原因で、患者の半数が5歳以下の子どもという。ロカン・ヒリル県など火災の最もひどかった地域が含まれておらず、同局のトゥンク・ズル・エフェンディ局長は「被害者数はさらに増えるだろう」としている。
煙害が深刻化した18日以降、健康悪化を訴える住民が続出した。急性呼吸器感染症とは別に、ぜんそく患者699人と肺炎患者708人も確認された。千人以上が皮膚や目に異常を訴えている。重篤化し、入院した人もいるという。他の感染症の原因になる恐れもあり、州は早めの治療を勧めている。
州内には緊急事態宣言が出されており、煙害に関係する医療費は州政府が負担する。州はこれまでに全県の主要都市にマスク12万枚を無料配布したが、17万枚を追加配分する。
気象地理物理庁(BMKG)によると、州内の火災はピーク時に200カ所以上あったが、1日には7カ所にまで減少した。大気汚染の程度も州内ほぼ全域で平常に戻っているという。ただ、ロカン・ヒリルとシアク両県などでは火災が続き、州は保護者に対し、子どもを屋外に出さないよう呼び掛けている。
野焼きの延焼は6月上旬に拡大。同下旬にはシンガポールやマレーシアで観測史上最悪の大気汚染を記録し、外交問題に発展した。同州ブンカリス県では火災にまきこまれた住人2人が死亡している。(道下健弘)