滞在期間 30日に延長 観光客5割増に追い風 イ人対象数次ビザ
日本政府は25日、来月1日からインドネシア国民に対し、3年間で複数回入国できる短期滞在数次ビザの滞在期間を15日から30日に延長することを決定した。昨年開始した数次ビザ発給に続く滞在期間の延長で、昨年10万人を超え、今年上半期は約5割増のペースを記録するインドネシア人観光客の誘致に力を入れる。
日本政府は、日ASEAN(東南アジア諸国連合)40周年を契機とし、東南アジア5カ国を対象にビザの発給要件を緩和した。タイは15日の滞在ビザを免除、マレーシアは3カ月以内の滞在ビザを免除する。ベトナムとフィリピンには15日の数次ビザを発給する。
自民党が4月に発表した観光対策提言案では、ビザ免除対象国にインドネシアも含まれていたが、今回はタイとマレーシアのみとなり、インドネシアは見送られた。
外務省の担当者によると、韓国などが実施する東南アジア諸国に対するビザ発給要件緩和、インドネシアやタイ、マレーシアで昨年開始された数次ビザ発給を考慮してビザ免除対象国を決定したという。
今年1〜5月の訪日旅行者数はタイが18.1万人、マレーシアが6.2万人、インドネシアが5万人、フィリピンが4.9万人、ベトナムが3.4万人と東南アジア5カ国が高い伸び率を記録した。
12年の国別訪日旅行者数では、5カ国の中でタイが最大の26万640人、次いでマレーシアが13万183人、インドネシアが10万1460人、フィリピンが8万5037人、ベトナムが5万5156人だった。
訪日者数の1位と2位を占める中韓の観光客が伸び悩み、中国は前年比28.2%減。好調な経済で富裕層・中間層が増加する東南アジアから観光客誘致を図る。
■現在は1週間のみ
数次ビザの滞在期間の延長で、日本を訪問するインドネシア人旅行者の増加、ビジネス面での利便性の向上が見込まれる。現地旅行代理店「ジャランツアー」の矢倉邦夫社長は、同社を利用するインドネシア人旅行者の平均滞在日数は約1週間で「ツアーで訪日する旅行者が多いのが現状。今後は長期で日本を旅行する人も増えていき、関心が高まっていくだろう」と期待する。
日本政府観光局(JNTO)シンガポール事務所の伊藤亮次長は「インドネシアからの観光客増加に向けて追い風になる。観光客による日本国内での消費増大が見込まれる」と指摘した。
JNTOは今年、南ジャカルタのスミットマスビルにインドネシア事務所を開設する。8月と10月には日本観光に関する旅行セミナーを実施し、旅行代理店や個人旅行者に地方観光地の情報提供をするほか、航空券やホテルの手配方法を説明するなど周知活動に注力する方針だ。
ビザ発給に関する詳細は在インドネシア日本大使館ウェブサイト(http://www.
mofa.go.jp/mofaj/press/release/press6_000364.html)まで。(小塩航大)