en塾が来春日本公演 イ団員50人、応援歌「桜よ」合唱も 「被災地に元気届けたい」
インドネシア人学生でつくる日本語ミュージカル劇団「en塾(エンジュク)」の団員約50人は来年4月、2009年の結成以来初の日本公演に臨む。熊本県と東京都で公演した後、東日本大震災の被災地・福島県と宮城県を訪問し、日本への応援曲「桜よ」を合唱する。安倍晋三首相も関係者に会い、公演に期待感を示した。団員らは「日本に元気を届けたい」と胸を膨らませている。
en塾の支援者が昨年、熊本インドネシア協会に同塾の活動を紹介。関心を持った同会から公演依頼があり、訪日が決定した。公演ではミュージカル「吾輩はニャンコである」の上演や、フィナーレには出演者全員で「桜よ」を歌う予定だ。日程の最後には被災地を訪問し、被災者に「桜よ」の歌を届ける。
■ 安倍首相が期待
今年1月に訪イした安倍首相は、ジャカルタで当初予定された演説の中で題「インドネシアにTerima kasih」としてen塾を取り上げることになっていた。しかし日程変更により、演説会が取りやめになった経緯がある。
3月の自民党大会では同塾の団員と学生500人が大合唱した「桜よ」の動画を上映。5月に行われた第19回国際交流会議「アジアの未来」では安倍首相が歌詞の一部を引用し、「私は震災を受けた日本に向けてインドネシアの若者が懸命に歌ってくれている事実に驚き、『世界の 真ん中で 咲き誇れ』と日本を励ましてくれる若者がアジアにいることに感動した」と力を込めた。
首相は自身のフェイスブック(FB)ページでも動画サイトのユーチューブに投稿された「桜よ」を紹介。再生回数が大きく増加した。
同塾を指導する甲斐切清子さんは先月10日に安倍首相と面会し、「首相はen塾が日本で公演することをとても喜んでくれた」と懇談の様子を笑顔で話した。
■復興の願いを込めて
歌「桜よ」は当初、ミュージカル用に制作され2011年3月10日に収録準備が整っていたが、翌11日に東日本大震災が発生したため、後半の歌詞を追加し日本を応援する曲に生まれ変わった。作詞は甲斐切さん、作曲は当時団長だったファトリさんが担当。同年5月には日本を元気にしたいと同塾の団員と学生の500人が大合唱し、復興への思いを歌に乗せた。
甲斐切さんは「日本を元気にしようと思いこの曲を作った。日本人の前でこの曲を直接歌うという夢がかなうかもしれない。来年の日本公演と被災地訪問がen塾の一つのゴールになる」と語った。
en塾では日本公演に向けてスポンサーを募集している。問い合わせは甲斐切さん(携帯081.6161・4068、メールinfo@enjukuindonesia.com)まで。(小塩航大)