バスリ氏が新蔵相に 投資調整庁現長官 補助金問題など舵取り
ユドヨノ大統領は20日、中銀総裁に就任するため、先月免職となったアグス・マルトワルドヨ前蔵相の後任に、投資調整庁(BKPM)のハティブ・バスリ長官を任命したと発表した。燃料補助金が国家財政を圧迫し、インフレ率の上昇やルピア安が懸念される中、健全な財政の維持と、これまでの好調な経済を中長期的に維持するための直接投資の誘致に向けた優遇税制、成長のボトルネックとなるインフラの整備向け支出拡大との間で、難しい舵取りを迫られることになる。
ジャカルタの大統領宮殿で20日、新蔵相を発表したユドヨノ大統領は「さまざまな観点で考慮した結果、ムハマッド・ハティブ・バスリ氏に対し、新蔵相としての任務を与えた。バスリ氏は幅広い経験を有する経済学者だ」と述べ、同氏の経験や見識を評価。投資調整庁長官を務めたこの1年間で、過去最高の直接投資額を記録したことなどを挙げた。
大統領はまた、「われわれの国家予算は健全でなければならない」として、財政赤字の拡大抑制に取り組むよう注文し、まずは、石油燃料値上げにつながる今年の補正国家予算案の成立に注力するよう求めた。
発表前にユドヨノ大統領と会談したバスリ氏は「大統領からは、慎重な財政運営が依然必要だが、一方で民間消費以外の成長源が必要と伝えられた」と述べ、並行して、直接投資の誘致拡大に向けた優遇税制の導入などを進めていく姿勢を示した。
ユドヨノ大統領は、今月22日に任期を満了するダルミン・ナスチオン中銀総裁の後任候補として、蔵相だったアグス氏を指名。国会の承認を経て、アグス氏は中銀総裁就任1カ月以上前に蔵相を免職となり、ハッタ・ラジャサ経済担当調整相が蔵相代行を兼任していた。
空席となる投資調整庁長官の後任はまだ発表されていない。地元メディアなどによると、国営石油・ガス、プルタミナのカレン・アグスティナワン社長などの名前が挙がっている。
◇ムハマッド・ハティブ・バスリ
1965年8月22日、ジャカルタ生まれ。47歳。92年にインドネシア大学(UI)経済学部で学士。豪州国立大学で博士号。UI経済学部経済社会研究所の研究員や所長、世銀やアジア開銀といった国際金融機関のコンサルタントなどを歴任。2006〜10年に蔵相特別補佐官、08年にはG20で、ユドヨノ大統領のシェルパ(大統領個人代表)などを務める。10〜12年に国家経済委員会(KEN)副委員長。昨年6月、投資調整庁長官に就任するまで、多くの企業の社外役員を務めた。