立てこもる信者を激励 グス・ドゥルの遺志継いで シンタ夫人がモスク訪れる
多様性の大切さを説いた故アブドゥルラフマン・ワヒド(グス・ドゥル)元大統領夫人で少数派擁護活動を続けるシンタ・ヌリヤさん(65)が5日、アフマディヤの活動を禁じる西ジャワ州ブカシ市で閉鎖されたモスクを訪れ、立てこもる信者を励ました。
モスク裏にある扉の小窓に顔を出したアフマディヤ信者ラフマット・ラフマディジャヤさん(33)が「他の人と同じように神への祈りを捧げたいだけです。助けてください」と訴えた。立てこもる20人は仕事をできず、家で待つ家族の生活に不安を抱く。ラフマットさんには生まれて2カ月の長男アフマッド君がいる。
外から南京錠を掛けられた扉を隔て、車椅子に座るシンタさんは「子どもに会えなくて悲しいね」とラフマットさんに声を掛け、「(モスク閉鎖は)宗教少数派の権利を奪っている。彼らを守るよう中央政府に訴えたい」と話した。ラフマットさんは泣いていた。
西ジャワ州ブカシ市は先月4日、閉鎖勧告を出した後も信者がモスクを使っているとして強制的に閉鎖した。モスクの周りにはベニヤ板が釘で打ちつけられ、出入りできなくなっている。20人は高さ約3メートルの塀越しに食糧を受け取り、1カ月間食いつないできた。
シンタさんはモスクを使っていた他の信者とも会い、果物の詰め合わせやケーキを手渡した。信者の1人アフマド・スパルディさん(60)は「グス・ドゥルの遺志を継いだ人がここにいる。温かい支援に心から感謝したい」と目頭を熱くした。(上松亮介、写真も、ウェブサイトで写真グラフ)